第17話

 嫌な予感がしてソウダイ様を探そうと、正面から来た2人は見てないと言っていた。裏口側から少し前に来たニーナも、見ていないと、でも屋敷の2階から騒音はしない。

 1階を走りながら中を探すがいない。

 それは、たまたまだった。

 庭をみたら、ソウダイが倒れているのを発見する。

 まさかと、慌てて窓から飛び出した。



 目を冷ますと、頭の下に何だか柔らかい物が、目の前にはサリーの顔があり、ボーとしていた。

 今の状況を、思い出し慌てて立ち上がる。

 立ち上がる?多分凄い衝撃で、窓ガラスを割り吹っ飛んだはず!

 ケガをした気がして、肩や肘、胸など触るが、大丈夫なようだ。

 「ケガをしていたので、ポーションを使いました。何処か、違和感などありませんか?」

 「助かった。ポーションは小さい方のバッグに?」

 「あなたに渡すと割りそうですし、無駄遣いしそうなので。」

 そう言われ、自分でもそそっかしいし、やりそうだと苦笑いする。

 「あっちこっちから、喧騒が聞こえてくるけど現状わかる?」

 「正面は、ジャストミートパーティーが、戦っています。裏口側は、ボンドさん率いるタンタ町の人達や元カンタ町の住人の人達が戦っています。」

 「ボンドさん達は大丈夫なのでしょうか?」

 「ニーナの話ですと劣勢ですが」

 と聞いて、走ろうとするが

 「チャント聞いて下さい!ニーナが行っているはずですので大丈夫です」

 「あの猫娘は、そんなに強いのか?」

 「私と同じ獣種族。猫の血族で、勇者様の元奴隷です。神の力を授かり、長命で特殊スキル忍術がある為大丈夫です」

 「神の力?こちらの世界の人達がスキルを持っているのは知っているけど神の力は初めて聞いた」

 「色々言われていますが、神の気まぐれだと私は考えています。ただ一部の人達は、神を崇拝していたりしますので、そういったスキルの持ち主は神の使者とも言われております」

 「いつも教えてくれてありがとう。猫娘を信じて、カンタの野郎と商人を探す」

 「やっと私が有能だと気づきましたか?感謝して下さいね!2人は多分2階でしょう」

 と2人で2階を見ると右手側の部屋でボンドが、自分をふっ飛ばした相手と戦っていた。

 他にも数名いたが俺には味方なのか?敵なのか?わからない。

 実際は、ボンド以外はカンタの手下であった。

 ボンドの剣が巨漢に折られたのが見えた。

 慌てて魔法石を探そうとするがバッグは見当たらない!

 「サリー何か手はないか?」

 「急いで2階に向かう以外は思いつきません」

 とサリーは走り出す。

 俺も考えながら向かう途中あのスキルならと、その部屋目掛け『ジャンプ』と右足に力を入れ念じると、2階のその部屋まて届き。

 またも、窓ガラスを割り部屋の中へ。

 まず巨漢男の左肩にぶつかり、それでも勢いが収まらずに天井にぶつかる。

 床に落ちてきてそこら中痛くて

、悶ている最中。

 ボンドは、巨漢男が衝撃で意識をソウダイに向けた時。その空きを見逃さず股間を蹴り上げた。

 周りに居た1人を殴り倒し剣を奪うと、巨漢男の胸に突き刺した。

 恐れをなしたのか皆が逃げようとするが、ボンドは商人の襟首を掴み、カンタが逃げないように剣を向ける。

 一瞬の出来事であった。

 ソウダイが何とか顔を、上げたときには終わっていた(笑)

 「ボンドさん?」

 「ソウダイ助けに来たぞ!」

 と笑うボンドを見て、こんなん惚れてまうやろー(笑)と馬鹿な事を思った。

 「お前達こんな事をしてただで済むと思っているのか?今すぐ跪け」

 とカンタが叫んだ時。

 俺には怒りが湧いてきて、立ち上がり睨みつけた。

 そこに、ファイアーとサリーが現れた。

 「カンタ様。いえ、カンタ不正取引及び、国王殺害を計画したとして連行する」

 とファイアーが言うと

 「不正取引とはなんじゃ!国王殺害等考えた事もないわい。わしは知らん!」

 「牢屋から不正に奴隷にされた者達が大勢いますし、商人の帳簿等調べればいくらでも証拠が出てくる事でしょう」

 とサリー

 「国王暗殺に関しては、あなたの部下からの証言と証拠書類が見つかっています」

 とファイアーが続く

 「わしは知らんと言うておる」

 「言い逃れは王国にて、カンタと商人を捉えよ」

 と後ろから獣種族2人が出て来て連れ出す。

 「1度言ってみたかったんだ」

 と俺に言うので、苦笑いをし

 「助かった。俺は、ヤマダ ソウダイ。ありがとう。」

 「俺は、ファイアーと名乗ってる。昔の名前は忘れちまった(笑)」

 「てか、何でジャストミート?ファイアーは俺的にはありだけど」

 「お!わかってくれるか(笑)ジャストミートは、さっきいたけど奴隷の獣種族全部で3人何だが狐、馬、熊といて、望んでいた種族が揃ったから変えたんだ」

 「前は何だったんだ?」

 「もう一人タロウて剣士がいるんだが、2人でタロウファイアーて名前だった」

 と聞きネーメングセンス無いんだなと笑った。

 皆で下に降り、正面入口の方へ。

 そこには、恰幅のいいおばさまやタンタ町の人達。あと、見かけない人達がいた。

 「無事だったかい」

 と恰幅のいいおばさまに抱きしめられた。

 されるがままにしていた(大きい胸の感触に幸せを感じていた)

 「ソウダイ様。その醜い顔を何とかして皆にお礼の一言があっていいと思いますが」

 と言われて慌てておばさまから離れ

 「皆ありがとうございます。好き勝手していたカンタと商人は捕らえられました!これからは安心して生活して下さい」

 と言うと

 「ウオー」とか「ヤッター」とか色々聞こえてくる。

 その中一人の女の子が出て来て

 「ありがとうございました。私はターニャと言います。母様や父様は無事でしょうか?」

 と言われて

 「ごめんなさい、俺のせいでターニャの家族を酷い目に合わせてしまいました。ごめんなさい」

 と頭を下げた。

 すると女の子が泣き出してしまう。

 「ターニャ様。お父様とお母様は今頃回復術師様が来て元気になられているでしょう」

 「ホント?」

 「サリーが言うなら、大丈夫さ。一緒に帰ろう」

 「うん」

 怪我人も出たが軽症で、ジャストミートの話だと今回の件で第1王子が、タンタの町の立て直しや、怪我人の手当等してくれるそうだ。

 何でも第1王子も狙われていて、1度殺されかけた時。カンタの裏には第2王子が暗躍していたらしい。

 その為、色々調べ。この町周辺の酷さを知り。心を痛め、動いていたらしい。

 そういう人だから、カンタの町の立て直しや怪我人の手当等は必ずするだろうとの事だった。

 ターニャの手をつなぎ。解決した事に安堵して、朝日を背に、タンタ町に帰った。

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