第13話
突然色々な事があり頭の中がグチャグチャだ。
ベッドに横たわる2人にどう謝れば良いのか、店はボロボロでケガの状態も酷いように見える。
回復術師がおらず消毒し包帯を巻き安静にする事しか今は出来ないと説明され、回復術師はどこに居るか聞くとすでに手配しているから今は待つしかないんだそうだ。
俺が手紙など断れば、料金を銀貨1枚で同じにしていれば、商人の事を調べるべきだった。
等現実逃避して奥様の側で佇んでいると
「ターニャ」
と声が聞こえたがアリスオバサンの名前じゃないし、ダンナがターニャは無理がある。
そこで、熱を出したと言う娘の存在に気づき
「彼女の娘さんがいない!」
周りの人間を見ると目を合わせない!
「娘さんは何処にいるんだ」
と周りに叫ぶと、近くの若い男が
「連れてかれた」
「何処に?」
「多分カンタだろう」
「カンタはどっちの方角だ!」
「あっちだよ」
聞いた途端向かおうとしたらまたおばさまに止められた。
睨みつけると、首を横に振る。
「嘘だろ!まだ時間もそこまで立ってないし助けられる!行かせてくれ」
「あんたが相手にしようとしてるのは貴族だ。あの商人は、たち悪いバリス家の家臣で今まで逆らった者は葬られてきた。行った所で、殺されるのが落ちさ」
とおばさまは、涙を流しながら俺の肩に置いた、手が震えている。
「こんな事されて誰も楯突かないのか?他の貴族は?王国に直訴とか何か方法があるんじゃないか?」
「良い国にだって腐った奴らは居るんだよ!王国の第2王子の連中が何をしても握りつぶすのさ。この国じゃ当たり前の事さ。」
「S級冒険者は?王様と仲がいんだろ!そいつ等強いんだし!」
「ダメさ!パーティーメンバーの一人。奴隷の斥候役は、王国の奴隷。第2王子に筒抜けさ。前にそんな事してその時は助かったが、S級がいない時にもっと酷いことになった。」
「わかった。取り敢えず離してくれ。」
「何処に行く?ここにいなさい」
「無理だ。俺のせいで大怪我をさせなおかつ2人の娘を攫われてるのに黙ってる訳にいかない!」
「アンタのせいじゃない!私が頼んで始まった事だ!攻めるなら私を攻めな!」
そんな事出来る筈がない。話しても無駄だと思い外に出る。
後ろからせめてボンドさんをとか、聞こえたがあの人を頼るわけには行かない。それに早く娘さんターニャさんを助けに行かなければと若い男が指差した方向に向かうと自称奴隷の女性がいた。
「お客様私を買う気になりましたか?」
相手にしている暇は無いと無視をして進もうとすると、
「一人では出来る事に、限界があるのでは?何も知らない異世界の方が貴族に楯突けば他の方も不幸になりますよ」
「じゃあどうすればいいんだ!」
と叫んでいた。確かに言われてみれば仮に助け出せたとしてその後は?カンタの町の貴族を潰し何とか王様に伝える事が出来ればとかなり無謀な事を考えていた。
「正しい答えなんてわかりませんが、今のあなたの行動は後悔しか産まないのでは?」
と言われ黙り込む。昔から後悔ばかりだがここで助けに行かないのは俺が俺で無くなるように感じた。それでも進もうとすると
「私は、ある貴族の方にお使えしていた事があります。その方の考え方に似ているお客様の助けになりたいと考えております。」
「私を買って頂けますか?」
「金が無い」
「出世払いで結構です、多少で御座いますが戦闘もこなせますし店からある程度くすねてきましたので」
目の前に大き目のバッグと小さ目のバッグを出す。
「くすねるって泥棒じゃねえか!返してこい!それに出世もせずに明日には死体になっているかもしれないぞ」
と言うと
「普通そこは褒める所では?何から何まで似ていますね。もう良いです。買ってもらう事は決定していますし重いので持って下さい」
と勝手にそんな事を決め大き目のバッグを押し付けられた。
唖然としていると
「とは言え私一人ではどうにもなりませんので、助っ人を呼びましょう。ニーナ」
と呼ぶと、突然黒装束の猫耳娘が現れた!
猫耳やーとテンションが上がっていると何故か2人に睨まれた(笑)
「ニーナ支給援軍を、まずボンドさん、後この町で救援募集、冒険者パーティーのジャストミートパーティーが近くのアルバトス町にいるのでそちらにも皆に事情を説明して助けを求めて下さい」
オイオイオイ何が何やら、てかこいつ何者?この猫耳も忍者なのか?ジャストミートて何?絶対異世界パーティーだろ!
「チョイ待て!てか待って意味がわからん?猫耳娘もそうだがお前何者なんだ?」
「これは失礼しました。私は元勇者のメイドをしておりました。サリーと申します。今後はソウダイ様の奴隷としてお仕えさせて頂きます」
とスカートの端を掴みお辞儀をする。
猫耳娘は俺を睨んだ後消えた!え?辺りを見渡すがいない!
「ニーナはその時から私と一緒におります。ちなみにあの店は、私の店で白金貨1枚は冗談です。ホントなら白金貨100枚は欲しいですかね?」
と、ダンダン理解出来くなってと言うか面倒くさくなった。
「ボンドさんに頼むのは辞めて欲しかったがいないし取り敢えず俺は娘さんを助ける!んで、お前はついてくるのか?」
「ソウダイ様が行かれるなら、私も行きます。ちなみに勇者様をお慕いしておりましたが猛プッシュを躱され処女に御座います」
と、いらない情報をぶっ込んでくる!
「行くぞ」
とスルーして見た目以上に重いバッグを肩から下げてカンタに向かう。
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