第10話
隣町に付き入り口に居る人にこの町の名前を聞くと『タンタ』と言うそうだ。因みに住んでいる村は名前もなく村でいいらしい。
タンタの町に入り手紙を届けに向かうと、感謝され果物を貰う。
その時お客で来ていた恰幅のいいおばさまに、村に行くなら私の手紙も届けてくれないかと頼まれついでたしとオッケーと伝えると喜ばれたが
「他にも手紙を送りたい人はいると思うから頼めないかい」
「夕方にこちらのお店によるのでそれまでに纏めて貰えたら届けますよ」
「有り難いけどお金はいくら位用意すればいいかい?」
「ついでだしいいですよ。」
と言うと黙り込み俺の顔をじっと見て
「それは駄目だよ商人には今まで頼むのに銅貨1枚を一人一人払って頼んでいたんだから無理にでも受けてもらうよ」
とおばさまに言われ銅貨1枚と言えば日本円で千円位、そんなに貰うわけに行かないしでも受け取らないと納得してくれなそうだし、
「では、一人何通でもいいので鉄貨1枚でお願いしますm(_ _)mそれ以上は受け取れません」
と伝えると笑って背中を何度も叩かれたが地味に痛い(笑)
「あんちゃん気に入った結婚してなくちゃ抱いてやったのに」
と恐ろしい事を言い始めた(笑)
「気に入った!何か困った事があれば私に言いな」
といい夕方までに纏めておくと言い捨て何処かに行ってしまった。
店を待ち合わせにして申し訳無いと謝ると
「あの人はこの町のまとめ役みたいな所があるから気にしなさんな」
と言われそれでもすみませんと頭を下げて町を探索する事にした。
結構色んなお店があったが食堂は一ヶ所しかなく冒険者組合?も見当たらなかった。
店の立ち並ばない場所まで来るとそれなりの住居が立ち並ぶが一部家も歩く人の服もボロボロの場所があり倒れている少年がいた為駆け寄り話し掛けると、「水」と聞こえたので水筒を渡すと勢い良く飲み同情からか先程貰った果物も渡すとこちらもすぐに食べた。
だがお礼も言わず走って行ってしまった。
それを見ていたのか大人3人が近づいて来た為逃げ出した。
追ってこないのを確認してふと水筒を忘れた事に気づき失敗したと後悔していると、ウサミミさん確かミーさんのいる食堂が目の前にお腹も空いていたので中に入ると体感15時頃と言う事もあり空いていた。
今の時間はウサミミさんは一人なのか、チップを払ったミーさんだけがいてカウンターに案内してくれた。
何がいいのかわからずオススメは?と聞くと即答で日替わり定食ですと言うのでそれにした。
やはり厨房の中を覗こうとするとコックさんに睨まれ諦める。
今日の日替わり定食は、ナンのようなパンと肉野菜炒め?と卵スープだった。
こちらの物の価値がわからず暇そうなミーさんに、
調味料はたかいのか?とか
肉は何の肉をよく使うのか?とか
聞いてみると、異世界から来た人が色々広めてくれて調味料なんかはそれ程高くないらしい砂糖はサトウ王国(一番南の位置にある国)で大量に生産できるので意外と安いらしい。
肉はこの辺りでは鹿か兎たまに熊の時があるが珍味と言われあまり出回らないらしい。
この近くは何故か魔物が殆どいない為出ないが他に行けば魔物の肉の方がメインらしい。
先程の場所の事を聞くと、近くの『カンタ』と言う町には貴族がいて好き放題しているらしく最近そちらからの移住者が多く、お金の無い者はあそこに勝手に住んでいるから今後は近付かない方がいいと言われた。多分もう行かないだろうと思う。
料理を食べまた銀貨2枚渡すと笑顔でまた、頬にキスしてくれた(≧▽≦)
天にも登る気持ちで忘れていた。
外にでて背後の声で思い出す。
「お前逃げた癖にまた来やがって俺のミーさんに近づくんじゃねぇ!」
ヤバと今頃思い出し振り返ると相手は3人震えそうな足に力を入れ、
「俺が何処に行こうと誰と話そうと文句を言われる筋合いはない」
と言い切った。だが内心逃げたくて仕方なかった、が、心の何処かでショルダータックルを試してみたい。勝てるんじゃないかと言う気持ちが支えになっていた。
「もう我慢できねぇ。やるぞ」
と言うと3人が向かってきた。
ヤバイと思い逃げ出すだが途中で止まり振り返ると3人は立ち止まっていた。
距離が空いた!今ならいける!
と絡んで来たやつ目掛けて駆け出した。距離的には10メートルも無いが、相手が身構えたと同時にショルダータックルが炸裂すると、2メートル位吹っ飛び倒れた。
残りの2人は、びっくりして逃げ出した。
やれた!やったんだと!喜びそいつに近づくと、白目を向いていた。
これって死んだりしないよなと不安になりこのままにしたらまずい気がしたが、薬草も無いし困った。こう言うときは、朝に合った恰幅のいいおばさまが現れるとか知り合いが現れるとかと、周りを見渡すが見知らぬ人がびっくりしていただけで誰も近づいて来なかった。(笑)
仕方なく、そいつの脇の下を掴み近くの店にいるミーさんの所へ。
「いらっしゃいませ~」
とすぐに来てくれたが俺の手元を見てため息を吐きながら厨房へ行きバケツ?を持って戻り俺に手を話すように言い。いきなり中に入った水?をそいつにかけた。
「うわーーー」
と勢いよく起き上がった。びっくりしたが、良かったーとホッとした。
「あんた!またそんな事して!お客に迷惑かけんじゃないよ!」
「ミー怒んないでくれよ。こいつが悪いんだ」
「いい加減にしな!私にセクハラする客に怒ってくれるのは嬉しいが、良いお客にも怒られたら商売にならないだろ!」
と二人のやり取りを見て正直ミーさんに対してビビった(笑)
その男は小さい声でゴメンナサイと言っていたがミーさんの説教が長そうなので帰りますと良い帰る事にした。
「ゴメンナサイね。次はサービスするからね。」
と猫なで声で言われたが苦笑いとなるのは仕方ないと思う(笑)
後ろで「サービスてなんだ」と聞こえたが振り返る事なく店を後にした。
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