第9話
「おはよう」
サイ君の笑顔を朝一番に見る事ができ幸せな気持ちで1日が始まる。
こんな素晴らしい生活を続けて行くのも悪く無いと思い始めたが、やはりこの異世界を旅して見たいとも思っている。
魔法を使っている人をこの村では見る事が無いが、町にいたコックさんは、多分魔法で火を使い料理をしていた気がするし、魔道具かもしれないが、S級勇者や他の国、冒険者にも興味がある。
今は、色々考えるのはやめにして、サイ君と顔を洗いに井戸に向かう。
すると背中に小さい白い翼がある少女に出くわす。
「あっエイカちゃんだ」
と指を差し、声を出すとその子はこちらを見る。まだ眠そうな顔だ。少しボーとしていたが私の「おはよう」の声に目が覚めたのか、目を見開き何故か背中を隠すように後退りタオルを置いたまま離れていく。
「あれー?いつもはおはようと言ってくれるのに」
と不思議そうに首を傾ける。
あの様子だと、翼を見られたくなかったみたいけど、タオルどうしようか迷ったが二人共顔を、洗い終わった後も戻ってくる様子が無いので1度預かり後でボンドさんにどうしたら良いか聞いてみる事にした。
ボンドさんが朝食を作っていたのでサイ君にテーブルで待っているように伝え、キッチンでボンドさんに井戸での事を話してみると
「その子はエイカちゃんと言ってこの村では数少ないハッピーの獣種族で、うちの子とは仲がいいのだが、翼がある事で一部の人間がどう接すれば良いかわからず、遠ざけるようで気にしているようなんだ」
と聞き背中というよりか首裏あたりから小さい翼が見えていたが隠すのも難しそうだし可愛そうだなと思ったが、サイ君が仲良くしていると聞いて優しいサイ君と友達なら捻くれたりしないで済むのかな?なんて思ったりもした。
朝食を食べながら、隣町に行く前に一緒にエイカちゃんの家に行かないかサイ君に聞いてみると行くと元気な声で答えてくれた。
出来たら自分も仲良くなりたいし、翼も触れるなら触ってみたいと思っていたが、決して養女好きではないと心の声で大きく言いたい( ̄ヘ ̄;)
と言う事でサイ君に案内してもらいエイカちゃんの家に来ると窓がやけに大きく感じた。
サイ君は慣れているのか、ノックもせずにドアを開けエイカちゃーんと声をあげた。
流石にそれは駄目だろうと家に入り切る前に片手を取り
「サイ君、人のお家に勝手に入ったら困る人もいるから必ず入っていいか聞いてからじゃ無いと駄目だよ」
と優しい声で伝える。人の家の子を叱るようで申し訳無いがサイ君には、常識あるイイコに育ってほしい為注意した。ただ単に自分の中でそれはないでしょと思ってもいたしただサイ君から何で困るの?と言われどう答えて良いか悩んでいたら中から両耳あたりから大きな翼がある女性が出て来て
「おはようサイ君。そちらは噂の異世界の人ですね。始めましてエイカの母でマーエと言います。」
「始めまして、異世界から来ましたソウダイですm(_ _)mどんな噂かわかりませんが先程井戸で、多分エイカちゃんのタオルを拾い届けに参りました」
とキレイ系女性に緊張しながら自己紹介する(笑)
不満顔のサイ君がねぇお兄ちゃん何でとジーパンを引っ張っていた。見かねたのかマーエさんが、
「お家の中を見られたくない人もいるし、もし着替えていたら恥ずかしいでしょう。だから確認する必要があるのよ。サイ君が前にお漏らしした布団を外に持っていこうとしてオバサンに合って恥ずかしかったでしょ、」
と笑顔で言うと
「エイカちゃんのママ内緒にするって言ったのに」
と顔を、赤くしてマーエさんの服を引っ張ると
「ごめんね。でもわかってくれましたか?」
そう言うと、服を掴んだまま下を向き
「ウン」
と言う姿に二人して笑顔になるとマーエさんの後ろからエイカちゃんがフード付きの服を来て翼を隠し出て来た。
「エイカ、こちらソウダイさん。サイ君と一緒にタオルを、届けに来てくれたわよ。」
と言われるが俺の存在に気づきマーエさんの後ろに隠れてしまう。
その姿が可愛くて頭を撫でたくなるが、我慢して
「朝はごめんねm(_ _)m驚かしたみたいで、今日お兄さんは隣町まで行くからサイ君と遊んで貰えないかい?」
と伝えると後ろに隠れたままだったが
「朝は私もゴメンナサイ。お家の中で遊ぶならいいよ」
と言うのでサイ君の背中を押しバイバイと手を振ると振り返してくれた。
マーエさんに宜しくお願いして、背中を向け歩き出すと
「タオルありがと」
の声が聞こえ振り返ると扉は閉まっていた。
何だか嬉しくて隣町まで笑いながらジョギングした。
多分周りから見たら不審人物だったかも知れない(笑)
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