第8話

 逃げ帰るように村に戻った時、手紙を預かっていた事を、思い出しボンドさんに聞いてみると、すぐ近くの家のお婆さん宛の手紙らしく一緒に渡しに行った。

 ノックして暫くすると、腰の曲がったお婆さんが出てきた。

 「おや、随分可愛いお客様だね。どうしたの?」

 「隣町から手紙を預かって来ました」

 と伝えると嬉しそうに手紙を受け取り

 「ありがとう。返事が気になっていたから嬉しいよ。遠かったでしょありがとうね。ありがとうね。」

 と頭を撫でられた。どうやら娘さんが隣町で店をやっていてそのまた娘(お孫さん)が熱をだし下がらなくてと相談の手紙が来て、下げる方法を前の手紙に書いて商人に渡したが返事が気になり心配していたそうだ。

 どうやら熱も下がり元気に過ごしているらしい。

 話を聞きお返事を書いてくれたら明後日お届けしますよ。明日は、サイ君との約束がある為そのように伝えると

 「遠いから気にしないで届けて貰えただけでいいからね。ありがとうね」

 「実は走る事が大好きで、明後日隣町まで行こうと思っていたし気にしないで下さい」

 と伝える。喧嘩になりそうになり暫く行きたくなかったが、優しいお婆さんの為ならお安い御用だと軽く考える。

 「もし届けて貰えるなら助かるよ。ありがとうね。そしたら明日までに手紙を書いて置くからまた明日来て貰えるかい?」

 と言われわかりましたと、笑顔で別れ家につくとサイ君にタックルのように抱きつかれびっくりした。それ程仲良くなるイベントはなかったのになと首を傾げるが、弟のようで可愛いサイ君に頬を、緩め今日あった事を話しながら一緒に眠った。

 「おはよう」

 目を開けるとサイ君の顔が目の前にある状況にもなれ始めた(笑)

 今日は、二人で何をしようかと思っていたが、攻撃手段が無いと絡まれた時困るので町とは反対の主様がいる森の方で試したい事があるからとサイ君とお出かけする事に、意外と手を繋ぐのが嬉しかったのか?楽しそうだ。

 森につくとサイ君に離れて貰い、考えていた事を試してみる。それはタックル!昨日のサイ君にされてダッシュではなく走ってショルダータックルする事で攻撃手段にならないか?と思いやってみる事に。

 利点は相手の顔を、見ずに攻撃できる事!びびりなのだ。

 それとレベルが上がったせいか、足の速さが異常に感じる。

 全速力で逃げた時、時速60キロは出ていたんじゃないかと思ったからだ。

 車に跳ねられるような衝撃を相手に与える事が出来るなら驚異だろうし、試す価値があると思ったので木を相手に試すことにした。

 一番端の木に目掛けて8割の力でショルダータックルを試してみると木が揺れた気がした。かなり肩が痛かったがサイ君の拍手にやせ我慢をした(笑)

 「すごいすごい」と言われ気を良くしてもう一度やると肩が限界に達し倒れてしまった。痛みに悶ているとサイ君が「大丈夫?大丈夫?」と揺するのだが余計痛くて困った。

 暫くして痛みも和らぎ胡座をかいて休んでいるとサイ君がいなくて慌てたがキョロキョロしているとサイ君が森の中から出てきた。

 「おにちゃん大丈夫?」

 と心配そうにするので力こぶを作り(少し盛り上がる程度)

 「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」

 と頭をなでた。すると目の前にこないだ食べた薬草が、びっくりしていると、

 「おとうに教わって薬草がわかるようになったから食べて」

 と差し出され「ありがとう」と伝え食べる。独特の苦味はあるが水筒を持っていたので流し込む。本来はよく潰す必要がありよく噛んだほうがいいのだが知らなかったのであまり噛まなかった。

 「サイ君のおかげで元気になったよ」

 と伝えると可愛い笑顔になってくれた。

 まだ、痛みがあるが今日はお婆さんの手紙を預かる約束を、思い出し手を繋ぎ向かう事にした。

 ノックし暫くするとお婆さんが出てきて、家の中に入るように言われ遠慮するがサイ君は気にする事なく中に入ってしまい苦笑いをしながら自分も中に入った。

 テーブルにイスが3つあり、座って待っているように言われ二人でお喋りしながらまっていた。

 何か、お皿の音がして腰が悪いしサイ君に残って貰いキッチンに向かうとクッキーと紅茶?を運ぶ所で、運ぶのを、お手伝いした。

 終始笑顔で他愛ない話をしていると夕方になりサイ君が眠そうにしているのにお婆さんが気づき

 「ごめんね。長い事話し込んじゃって、そこの引き出しに手紙があるから娘に渡してもらえる?」

 と言われたがどちらかと言うと、サイ君がこの3日感の話をしてお婆さんは聞いていただけだった気がする。

 優しいお婆さん。この人の事好きだなーと思った時名前を聞いておらず聞くとアリスとかなり可愛い名前に笑ってしまった。

 手紙を、取ると一緒に銀貨があり受け取れないと言うといつも商人に渡してるのと同じ、と言われたが、断った。

 こんなに優しいお婆さんから受け取れない。

 とテーブルに銀貨を置き。必ず届けます。と伝えサイ君と手を繋ぎ家を出る。

 「ありがとうね。気をつけて行っておいで。」

 と言われ嬉しくて二人で手お振りながら帰った。

 サイ君は食事中に眠いのか目をこすりこすり食べていたので、ある程度食べた所でボンドさんがベッドに運んだ。

 「遊んでくれてありがとう。私が、村長と言うこともあり、サイに友達が中々出来なかったから正直助かった」

 と言われ

 「こちらこそ、サイ君に助けられ不安な異世界を楽しめています」

 と答えた。

 何かお礼をしたいと言われたが自分も同じ気持ちなので、気にしないように言い、サイ君の隣に横になり幸せを感じながら眠りに付いた。

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