第35話 番外編その3・ベルゼブブ
番外編その3・ベルゼブブ
我はベルゼブブ、蠅の王などと言われて居ますが、正確には蠅は我が眷属の一つに過ぎないのです、ありとあらゆる蟲は我が眷属なのですよ。
その中でも最も動きやすいのが蠅であるが故、自分でも良くその姿に変化して移動をしたりして居るに過ぎないのです。
特にショウジョウバエ等はコンパクトで狭い隙間も突破出来、我を阻むものは殆ど無いと言えますね。
しかも我が能力は蟲を操るだけに非ず、疫病を流行らせたり、様々な物を腐らせたりも出来るのです。
最近ではこの能力を利用して魔界でサタン様用の酒やチーズを作って居たりもするのですが、今は関係無いのでそれは又そのうち紹介するとしましょう。
そんな事よりも今は、この面白い人間の観察が我のマイブームで有りサタン様より受けた命でも有ります。
様々な蟲を眷属として操れるのだから当然このような偵察任務には我が能力が一番適任なのですよ。
「クフフフフフ、良いですねぇ、面白い、もっと我を楽しませるのです人間よ、サタン様もきっとお喜びに成りますねぇ。」
我が放ったコレラ菌をとうとう克服してしまった、本当にこの人間は愉快ですねぇ~。
此処まで多岐に渡って知識を蓄えた人間、そうは居ませんねぇ、いや、彼を見つけられて本当に良かった、退屈な日々を脱却するには最高の娯楽ですねぇ。
本当にアスタロトの奴は良くこんな愉快な人間を見つけ出したものですね、先を越されて少し悔しいですが、サタン様の命によって我が観察係に任命されて大変幸せですねぇ~。
なにせ直にリアルタイムで楽しめるのですから。
この観察対象の人間は、名前を鈴木隆司と言うようです、それが神々の怒りに触れて消滅させられる直前、サタン様が直々に救い出して、気まぐれに我らと共に行動されて居る時の神クロノス殿が150年程過去へと転生させたものです。
私もクロノスによって過去へと半身だけやって来てこのように観察をしております。
現在の彼の名前は益田一太郎と言いましたか。
いや本当に面白い人間ですよ、彼は。
無駄に豊富な知識で様々な事を成し遂げはしますが、何処か抜けていて良く失敗もする、何と人間らしい事か、なんとも人間臭いでは有りませんか。
この歪さが人間の面白さですねぇ~、最高の見世物ですよ。
又、彼の周りに集まる者共もなかなか愉快です。
何も出来ない不器用な癖にやたら真面目な山田と言う副官や、一太郎の作り出した自動車の運転手に成るも、ハンドルを握ると人が変わるアホの子や、何でも一太郎と似たような使命を神によって課せられて同じように過去に蘇った天照のポンコツ元神使の、出来る子である一太郎への依存もとても面白かったです。
元神使の癖に神通力の一つもコントロール出来ないアホの子と言う面も愉快ですが、神使ともあろう者が人間に依存すると言うポンコツっぷり、とても興味深かったですねぇ。
奴は肉体の寿命を迎えてしまったのは残念ですが、神の眷属である以上直ぐに戻って来るでしょう。
それにしても、サタン様も最高のエンターテイナーですねぇ~、こんなタダでさえ面白い人間を、敢えてこの人間自身も学んで知っているであろう過去の世界へ転生させるなんて楽しい事を思いつくなんて、流石マイロードです、感服の極みですねぇ。
無意識にテンションが上がってノって来ると出るこの鼻歌、これもこの時代には存在しない曲ですからねぇ、誰がいつツッコんでんでくれるのかが楽しみでなりませんよ・・・って、寄りによってコイツですか、素晴らしいタイミングでツッコみました!
「ブァハハハハハハハハハハハ!!!」
おっとイカン、つい声が漏れてしまいました~。
一太郎が何だか不審な顔をして辺りを見回しました、チョット聞こえてしまったらしいですね、クワバラクワバラ、ですね。
私の分身体のコバエでも声が漏れてしまえば見つかり兼ねませんからね、叩かれたりしたらこのサイズではひとたまりも有りません。
ん?何でしょうか、私のこのパンデモニウムの執務室に居る本体をつつく輩が居ます、私は忙しいのですよ、ほおっておいてくれませんかねぇ?
あ、いや、サタン様かもしれません、意識を本体に戻して分身体は録画モードにしましょう。
「ねぇ~ん、ベルちゃんったら何してるのよぉ~ん、一人で楽しんじゃってぇ~。」
げぇっ! リリスじゃ無いですか、サタン様のストーカーだけしてれば良いものを何故私の所にぃっ!?
「こ、これはリリスさんでは無いですか?どうされました?私は忙しいのですが?」
「何が忙しいのよぉ~、どうせ何処かに飛ばした分身体か眷属に其処か偵察でもさせてオモシロいもの見て楽しんでるだけでしょお?」
ず、図星だ・・・なんて鋭いのでしょうかこの女は・・・
「な、何をおっしゃいますか、私はサタン様の命で・・・」
「で?」
し、しまったぁ~~!!
誘導尋問だったかっ!
「な、何でも有りません!私はとにかく忙しいのですよ!出て行って下さい、誰か居らぬかっ!リリス殿がお帰りですよ!とっとと連れ出しなさいっ!」
「ふふ、そんな事叫んでも無駄よ?貴方の部下はみ~んな寝て貰ったもの。」
なんと言う事でしょう!恐ろしい女!サタン様が逃げ回るのも納得いきます、これは恐怖です! 誰か助けてくれ~~・・・
この私をここまで簡単に手玉に取るなんて、こう見えても私はサタン様の後継者候補3名の中に数えられるのですよ?それがこうも簡単に!
・・・・・・・
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「ふぅん、つまりこの一太郎ちゃんって人間が今のサタン様のお気に入りのオモチャって事ね?」
「は、はい、そんな・・・所です。」
ううっ!私は何を暴露してるんだ!精神攻撃ですか?これは!
「うん、決めたわ、私もこの時代に行ってくるわねぇ~?」
「え?・・・・」
マジ?ちょっとリリスさん?
何をおっしゃってるんですか?
「クロノスちゃ~ん、居るんでしょぉ?私もここに送って欲しいのだけど?」
待て待てマテェェェ~~~!どどどど如何なってしまうんですかぁ~?
「呼んだか? 何だリリスか、・・・・・・・・・・・成程、面白いな、良いだろう。」
現れたクロノス殿はすんなりとリリスを過去へと送り付けてしまったのだ・・・どうしましょう・・・
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