第24話 脱亜論・銀行券・汚染問題
脱亜論・銀行券・汚染問題
1885年、明治18年である。
なんでも1月早々から朝鮮よりの使者が来訪し、壬午事件の賠償をするから公使館に戻って欲しいとか言い出した。
史実だと丁度この辺りで壬午の後処理の条約が取り決まって朝鮮が賠償を支払う確約とかした筈なのだが、この度壬午事件はこちら側の被害は皆無、但しこのような事が次にいつ起こるかも知れないと言う事で公使館その他諸々を引き払って居る、日本人自治区以外には既に何も無くなって居るので相手の頓珍漢な申し出には承認をしかねる。
と、そのような話に成ったらしい。
すると今度は、福沢諭吉が脱亜論なる物を国も同じ考えだと言わんばかりに高らかと発表するも、小官との対談と言う軍部の意向で弁論を戦わせる事となる。
またラジオ出演らしい、何とも面倒な事である。
脱亜論は極論である、アジアを脱すると言うのはそれは西欧諸国と一緒になって植民地を作りアジア全土の様々な他人種を蹂躙しつくし奴隷とせよと言って居る様な物であると反論をすると、福沢殿はそこまでは言って居らん、むしろ次々と新兵器を投入し続ける軍こそが奴隷制度を良しとする侵略者のそれでは無いのかと言うが既に小官を舐めて居た時点で負けであろう。
これより日本国は奴隷等と言う野蛮な制度を無くす為に尽力をし、既にそうなって居る国々を開放せん、その為には世界の大国に対抗出来る兵器が有用となるのだ、力無き正義は愚者でしか無く、正義無き力も又未来を見据えて居ない愚者であると言うのが小官が天皇陛下にお願いし同意を得た方針なのだ。
その為に小官も世界を敵に回せる程の加速度で様々な兵器を開発して来たのだから、群を暴走させないと陛下が約束して下さった以上は間違い無いのだ。
手始めに最近軍部が掴んだ情報で、フランスと清国がベトナムを掌握せんと奪い合う清仏戦争が既にくすぶって居るのでそれを我が帝国海軍で仲裁するつもりである事をついうっかり言ってしまった。
朝鮮に関しては、余計な手出しはせず遠巻きに見守って自力で国を作って行く難しさと、正しい教育の重要性を今のうちに認識して頂かねば後の世で、降板した国家主席を悉く暗殺したり死刑にするようなダメな国の世界代表になってしまうのは目に見えて居るのだ、実際見て来たからそう思うのだけど、そこは言えないのが辛い所では有る・・・。
そもそもかの国は、「自分の家系は元王家であったのでお前の先祖は王様なのだ」と自分の子供に教えて行くという、既に意味不明ですらある民族を挙げての風習がある、それって何よりも先にはどうにかして欲しい物である。
お陰で自分が言う事だけは全て正しいと言う主張を繰り返す可笑しな国家の根源たりうるのだ。
なので、”遠巻きに見守る”が今の所正解なのだ、事実現在そういった方針であると言う小官の主張に反論が出来なかった福沢氏は、子供に負けたと涙目に成りながらも、何事か怒鳴りながらラジオ局から帰って行った。
翌日の時事新報には、小官を軍の定めた台本を読んで居ただけであるとか揶揄するような何だか負け犬の遠吠えが掲載されて居たが、社説で大々的に脱亜論を説いて居たので後に引けなかったのかもしれない、だが世論は今をときめく神童の小官に軍配を上げるのだった。
益々一人で外出出来なくなったでは無いか、新宿のおやっさんの店に飯食いに行きたいのにさぁ・・・あのカレーの味が忘れられんのよ・・・ラーメンも美味いんだよなぁ・・・(ぶつぶつ)
しかもだ、小官は暇では無いのだが・・・兵科技研に毎日のように通って来る学生達はすっかり自分達の手で空を飛ぶ日の為に頑張って居ると言うのに、航空力学の研究を提唱した小官自身が参加せず学生達だけに任せる日々が続く今日この頃だった。
何だかノリは昭和平成令和と長きに渡って放送された”鳥〇間コンテスト”であるなぁ等と思ってしまいついクスッと思い出し笑いをしてしまう。
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で、ラジオで小官が明言してしまったのでやらない訳にもいかないので海軍大将閣下が直々に命令を下し、清仏戦争に割り込む事に成った。
結果はと言うと、壬午事件を知っている清国は、恐らく本国からかなり離れたこの地であれば大日本帝国の火力の前では手も足も出ないと踏んだようですぐさま撤退、一切の戦闘も無く退却した、一方フランスはと言うと、折角先にベトナムに侵攻したのに何故撤退せねばならんと抵抗を開始するも、日本の戦艦の足の速さと砲の飛距離の違いでアッサリ負けを認める事と成ったのだった。
折角揚陸作戦も考えて陸軍機動部隊も乗船して居たというのに、残念である。
ベトナムはと言うと、我が国に感謝をすると共に、我が国からの移民枠を認め、移民者による工業化促進や帝国本国との貿易を全面的に支援すると確約をしてくれた、此方もその心意気に答えねば成らないと、工場での現地人労働者に対して日本人と同じ額の給金を提供する旨を確約、そしてベトナム政府に対し、労働力の提供を御願いする代わりに、少しづつでは有るが学校を作り学力と生産性の向上を図ると言う協力を申し出たのだった。
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日本の軍隊の異常な強さを思い知ったフランス、そのフランスとの諍いが絶えない事でフランスよりも強くなりたいドイツ帝国とが、スパイを送り込んで来たが、昨年小官の意見で設立されている情報局が目を光らせていた。
そもそも白人達がこの時代の我が国に居て目立たない筈は無いので探すのは割と簡単ではあるが。
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そんな中、物価も少しづつ上がって来た、賃金も高くなって来たので、(まぁ史実でもこのタイミングでは有ったが)日本銀行券が新たに発行された。
10円、50円、100円の各紙幣が出回る事となる。(史実では10円のみ)
紙幣のデザインは伊藤博文殿がほぼ全部一人で考えたらしい。
史実の場合よりも2種類も余計に考える羽目になってゴメンね、小官の所為だよそれ、きっと・・・
代わりに小官の特許の収益の袋が薄くなってちょっと寂しかったりもしたのだが、まぁ中身が著しく減った訳では無く少ない枚数で良くなっただけなので良いのだけども・・・。
乗用車が新車で一台8000円であったのでまぁまぁ良い塩梅の種類を出して来たなと思う。
紙幣の種類が増えると言うのはそれだけ経済が発展した証拠でも有るので良い傾向だ。
海運事業は、史実では〇菱財閥の独占状態だったのだが、〇井物産海運事業部が小官の流出させたディーゼルエンジン搭載スクリュー式運搬船を開発してしまった為に、2大勢力となった。
競争も重要なので良い傾向になったと思う。
こうしてインフレは少しだけ加速したが、海運の運賃競争が勃発した為に輸入される材料等がそこまで高騰せず、未だなだらかなグラフ曲線を維持している。
そしてこの年、世界初の自動車(トラック)による運送業者と、公社による路線バスが登場したのだった。
やはり技術が進むとその変化に適応、対応して来る者は割と居るのだ、商魂逞しいとはこの事かも知れない。
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そんな中、一寸あまり良く無い事が起こってしまった、工場の廃棄物による大気汚染と海洋汚染が起こり始めて居るようだった。
仕方が無いので、伯爵様を通して、中和触媒及び浄化槽、廃棄物フィルターの設置とメンテナンスを義務付けるように促し、中和触媒を何種類か開発する事になった。
航空力学に没頭したい所なのだが小官の身から出た錆のような部分も否めないのでそこは致し方の無い所であろう。
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