第18話 な、なに…?(後編)

※この話には1部性的な描写があります。お読みになる際は注意してください。









 すると、幸牙は俺の右腕を掴み、ある所へ移動させる。俺の位置からは、幸牙の体が邪魔で見えない。でも、触った感じでわかった。


「ッ!?え、これ…」


 俺が触れたものは、恐らく…幸牙"自身"だ。熱を帯びた、固くなった幸牙自身。握ると、ドクン、と脈を打っているのがわかる。


「…うご…かして…それ…」


 幸牙は意識が朦朧としているようだ。あまり呂律も回っていない。まさか、薬飲んだ?でも何で?と、取り敢えず、言われたからにはやるしかない…。


「い、いくよ?」


 幸牙のそれを握って、上下に動かす。太くて、俺の手が周りきらない。それ自体も大きいので、ストロークが長い。優しく上下に動かしてやると、幸牙が小声で喘ぐ。


「…ッ…ん…はぁっ…」


 しかし、今ここに人が来たらどうするものか…声なんか聞かれたらまずいぞ…。でも…好きな人が今、こんなに近くに居て、こんな行為をしていると考えると、なんだか止めるのが勿体なく感じてしまい、ここに誰かが来てもいいかななんて気持ちになってしまった。


 しばらく上下に動かしていると、それが今までで1番固くなった。より一層、ビクン、と痙攣する。そしてーー。


「ッ…くっ…あ、あぁぁ…ッ!」


 幸牙が、俺の手の中で果てた。白く濁った液体が、ビチャ、と言う音を立てて床に落ちる。床に落ちなかった分は、俺の手やズボンに絡みついた。すると突然。


「うぅ…」


 幸牙が俺に全体重を預けた。俺の肩に、幸牙の顔が乗っかる。俺はそれを握っていない方の手で受け止める。そして、幸牙は寝息を立て始めた。どうやら寝てしまったらしい。そのまま俺は身動きが取れなくなってしまった。まだ握ったままなのに…。


 その時。



コンコン



「…ッ!」


 …誰かドアをノックしたようだ。まずい、まずいぞこれは…。ノック音でふと我に返った俺は軽くパニックになってしまった。と、取り敢えず入ってますって言うか…?すると。


「入ってます?」


 ノック音の主が声を出した。ん?あれ、この声って…。


「え、ぶ、部長?」


「あ、その声は横川君?」


 なんと、相手は部長だった。…部長になら…大丈夫だよな?この状況見せても…。俺の事情知ってるし…。


「ぶ、部長。鍵開けるので、ちょっと手伝って貰ってもいいですか?」


「え?ま、まぁいいけど…」


「今、部長以外誰もいないですよね…?」


「え?うん、居ないよ。」


「良かった…じゃ開けますね」


 何とか鍵に手が届いた。ロックを解除し、ドアを開ける。そして、部長の眼にありのままの光景を映し出す。


「…ふぇ!?」


「あんまり大きい声出さないでください…これみたら仕方ないですけど…」


 俺は何が起きたか洗いざらい全てを話した。何とか部長は状況を理解することが出来たようだ。


「…ということがあったんです」


「あらまぁ…」


「それで、一旦幸牙をどかして欲しいんです。俺身動き取れないので…」


「う、うん、分かった」


 部長が何とか幸牙を持ち上げてくれたおかげで、何とか身動きが取れるようになった。幸牙結構筋肉質だから重いよ…。


「…ビチャビチャだね…これ」


「…取り敢えず拭きましょうか」




~5分後~




 取り敢えず全部拭き終わった。トイレットペーパー沢山あって良かった。拭いてる最中に誰も入って来なかったのは運が良かったな。しかし、俺のズボンはまだ少し濡れてしまっている。まぁこれについては言い訳が効きそうだけど…。


「なんとか拭き終わりましたね…」


「予想以上に量多かったな…」


「幸牙どうします…?寝ちゃいましたけど…」


「家まで送るしかないよなぁ…あ、俺も着いて行くよ」


 部長…本当にありがとうございます…。


「ありがとうございます。すいません手間かけちゃって…」


「全然、大丈夫だよ」


「でもどうやって家まで送ります?」


「うーん…車とかに乗せられればな…」



 ん?車…?



「あ、俺今日車で出勤して来ましたよ!」


「え?本当に!?」


「はい!…あ、でも…」


「でも…?」


 でも、俺の車は…。


「…スポーツカーなんですよ。だからちょっと3人乗車はキツイかもしれないです…」


 そう、俺の車はマツダ RX-7(FD3S)だ。オーナーだから言えることかもしれないが、後部座席が子供じゃないと乗れない位狭い。


「うーん…じゃあ俺が車の場所まで運んで、そこからは横川君と杉皚君2人で車に乗れば?」


「あ、じゃあそうします」






 部長が幸牙を背負って、車の所まで運んでくれた。本当に部長には迷惑かけてしまって申し訳ない。幸牙を助手席に座らせて、シートベルトを締める。


「ありがとうございました、部長。後は俺が」


「うん、頼んだよ」


「それではまた明日」


 部長に別れを告げ、車のエンジンをかけて、俺は走り出した。思えば自分の車に俺以外の人を乗せるのは初めてかもしれない。俺はそのまま幸牙の家まで向かーー。




 ーーあれ?そういえば…。




 幸牙の家の住所、俺知らない…。

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