第4話 見覚えのない場所

「んん…」


 あれ?俺寝ちゃってた…?ん?俺昨日、部長と飲んでて…それから…。…ダメだ、思い出せない。


 というかここどこ?見覚えのない場所だけど…。あれ?隣に誰かいる…あれ?部長?あ、じゃあここはひょっとして部長の家?俺酔い潰れてて家まで連れてきたって事?


 あらまぁお持ち帰りされちゃった♡


 じゃないから俺!酔い潰れた挙句部長が介抱してくれた上に家に泊めてくれたんだぞ!部長が起きたらちゃんとお礼しないと…。


 というか俺、スーツ姿じゃん、シャワーも浴びてないし…。

 …ちょっとシャワー浴びよう、着替え…部長の借りちゃおうか。

 部長、無断使用ごめんなさい…。


「んぁ…」


 朝か…って俺、蒼哉と添い寝したんだ…。あれ?肝心の蒼哉が居ない…どこ行ったんだ?よく聞くと、シャワーの音がする。どうやら蒼哉はシャワーを浴びに行ったようだ。


 その時、「ガラガラッ」と風呂場の扉が開く音がした。


「俺もちょっとトイレ行くか…」


 自室の扉を開けて廊下に出ると、蒼哉が風呂場から出てきた。


「あ、蒼哉おはよ…ってふぁ!?」


「あ、部長おはようござ…ってどうしたんすか!?」


 いやいやいやどうしたんすかじゃねぇ!だって蒼哉、バスタオル1枚だけで殆ど肉体が見えちゃっているじゃないですか…。

 俺はあまりにも破廉恥(?)な蒼哉の姿を見て、俺の意識はそこで途絶えた。


「んぁ…」


 あれ、何かデジャブ。


「あ、部長起きた!良かったぁ…」


 目を開けると、横になっている俺の顔を覗き込むようにしている蒼哉が居た。

 あれ、左目に傷がある?よく見たら額にも…。いや、そんな事より…。


「…距離近くね?」


「あっご、ごめんなさい!距離とかそんな意識してなくって…」


 いやそのまま不可抗力としてキスしてくれても良かったんですよ?


「あ、部長。さっきどうして倒れたんすか?」


 グハッ。


 先程の記憶が蘇ってきた…ヤバい、モノが目覚め始めた…。


「いやその…さっきは…。い、いきなり蒼哉がバスタオル1枚だけで出てきたから…」


 俺はか細い声でそう言った。


「え?風呂出たらそういう格好になっちゃうのは仕方なくないっすか?」


 蒼哉が苦笑いしながら言った。


「そ、それもそっか。てっきり鍛え抜かれた身体ボディを見せつけに来たのかと」


「なわけないじゃないっすか!」


 結構食い気味に返されたけど、怒った顔はしていなかった。


「あ、部長。俺朝飯作るっすよ。色々迷惑かけたんで、そのお礼として」


「あ、マジで?助かるよ」

 マジか、蒼哉の作る飯、どんなのだろう。


「ん?部長、何かスボンが盛り上がってますけどなn」


「何も見なかった、いいね?」


「えっ、あっ、はい」

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