世界最強の英雄たちが異世界召喚されたらしい
さい
第1話
「四人の勇者様……」
四人の男たちの周りにはローブを来た男たちがこちらを見て唖然している。
「ん……ここは?」
「なんダァ? ここは?」
「あれ、僕は先ほどまでクエストを……」
「何スカこれ」
その光景に四人の男たちも戸惑いを見せている。
「ゆ、勇者様方……」
そう言いながら、一人の白髭を生やした男は四人の男たちに近づき──。
「勇者様方……ど、どうか、この世界を救ってくだはい!!」
四人の男たちは声を合わせて──。
「「「「はい?」」」」
どうやら、異世界召喚とやらをされてしまったらしい。
「ちょ、ちょっと待てよ?」
「おい、そこのクソジジイ。帰らせろやァ?」
「ふふふ、僕レベルになれば召喚もされるのさ」
「マジ、だるいっスよ。そういうの」
(うわっ──、俺のことジジイとか言ってるんですけど……てか、もう少しマシな反応をしてくれ!!)
白髭の男……クバリーは自慢の白髭を触りながら。
「俺の名前はクバリー。どうか、そう、めんどくさらずに私たちの世界を救ってほしい」
(さまざまな世界の英雄を連れて来たんだ。そう簡単に断ったりなんてしないだろう……)
「え、やだなんですけど」
「そういうのはァ、てめェ自身でなんとかするもんじゃァねェーのかァ?」
(いやいや、自分自身でなんとかできないからこうやって頼んでるんでしょ!?)
「そうですよ。僕だって自分の力だけで世界を救ったんですもん」
(そりゃー英雄だからね!! だから、俺は君たちを召喚したんだよ!!)
「俺さ、もう向こうの世界救って疲れてるんスよ。だから、帰らせて……」
そう気だるそうにあくびをする。
(おい、こいつら本当に世界を救った英雄たちなのかぁあ!?)
どうなのか気になったクバリーは近くにいる一人の男に目を合わせる。
しかし……クバリーの視線に気づいたのか目を逸らす。
(す、すみません……クバリー様。こ、こいつら……自分にはなんともできません!!)
(こ、このやろう!! おーい、だれか助けてくれよ〜ヘルプミー!!)
「ゴホン。え、いいかなぁ? ちょっとだけだよ? 魔王討伐手伝ってもらっていいかなぁ?」
(普通、こう言う時はためを思って、手伝ってくれるもんだろ? なんなんだ、こいつらはよ)
「え、マジで言ってる?」
「ダリィ〜」
「それ、つまらないジョークですね」
「頭沸いてるんスカ?」
クバリーは拳を作り、唇を噛んで感情を抑える。
(こ、こいつら、殺してー)
もちろん、彼らはさまざまな世界の英雄だ。
クバリーが勝てるはずはない。
「ねぇ、お願い。俺たち死んじゃうからさ〜、君たち強いでしょ?」
そんな言葉に、はぁ、と一人の男はため息を吐いた。
「死んじゃう? それなら、手伝ってあげましょう。人が死ぬのは見たくない」
(世界救ってくれでそのくらい察しろや、ボケ)
クバリーの頭の中には、もう、彼らへの暴言しかない。
すると、そんな一人の男のセリフに──。
「こいつが手伝うんだったらァ、俺もやってやるよォ」
「えー、みんなやるんスカ〜。なら、俺も〜」
「え、なにそれ、俺もやる感じ?」
(どうやら、なんかうまくいったみたいだな)
クバリーは、はぁ、とため息を吐くと、密かにガッツーポーズをする。
(よし!! これで給料アップだ!!)
「な、なら、みんな、一人ずつ自己紹介してもらっていいかな?」
「そ、そうだな。じゃあ、俺からだ。アモスです。えーっと、魔王を倒した実績持ってます!! 最強です!!」
(さ、さすが英雄!! 頼もしすぎるぜ)
「僕はケレンだ。こう見えて、最きょ……世界一強い!!」
(い、言い直したあああ──ッ!! 最強のその上に行った!!)
「俺はァ、ガイアだァ。世界いや、宇宙一強い!!」
(さ、さらに上がっていくのかよ!! ……いいや、そのくらい強いんだ。彼らは……)
「俺はチトセっス。あ、多分、生き物の中で最強っス」
(いや、頂点!!)
すると、四人は睨み合う──。
「お前、俺より強いのか?」
「僕より強いのか?」
「ぶっ殺すぞォ?」
「俺が最強っスよねぇ〜」
(こ、こいつら……張り合ってやがる)
「いいか? 俺が最強だ!! なぜって俺はきこりの村の子供自慢大会一位の経験があるから!!」
(こいつだけ、場違いじゃん!! その大会で一位とってもそんなにうれしくねーよ!!)
「いいや、僕だ!! この鼻くそにかけて言える!!」
(いや、かけるものちーせーよ。そこは普通、命だろうが)
「それなら、俺は目やににかけれるぜェ?」
(こいつも、ちいせー)
「それなら、俺はっスよ、あかをかけるっスよ!!」
(おい、命をかけろよ!!)
「くそ、なら俺は……命をかけますよ」
(おい、こいつバカか? こいつだけガチのやつかけやがったあああ。たしかに言ったけども!! さすがにかけるなよ!! つーか、お前が一番勝てねーよ)
「なんだとゴラァ?」
「戦って決めましょうか」
「そうっスね。それが良さそうっス」
「お、いいぜ!!」
そう言うと、突如、教会は大爆発を起こす──。
──その後は目にも止まらぬ早業で、一つの大陸が消滅した──。
「クバリーさん!! あいつらやばいですって!!」
(あ、こいつら、元の世界に返そ)
世界最強の英雄たちが異世界召喚されたらしい さい @Sai31
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