空蝉
翌週、山吹は早速表紙案を作ってきてくれた。コントラストの強いけばけばしい絵柄だったが、テクスチャーがそれをカバーして、若干渋めの表紙となっていた。絵の中心に「
「私はあまり皆さんの文章を読めてないんだけど、タイトルはこれで行こうと思って――、」
絵柄も白、
みどりは最後に表紙案を手にして、
「いいですね、あまり意味にとらわれずに目に入る感じで――」
山吹の説明によれば、リアリティを求める作風が多くあるような気がしているというのが今回の文芸集のテーマらしく感じたことが、「
「原画は
「ええ――、私の専門だからね――」
「そしたら、テクスチャーは印刷で表現できるし、文字が白抜きだから文字の質も何か画用紙っぽいものか、布地の粗目のものに変えてみることにしようか」
「ただこの絵柄だとスキャンしたときにこの絵そのものの色味や質感は感じられなくなってしまいそうなので、私が一度持ち帰りますね」
みどりは後日スキャニングされたデータを送ってもらえるように山吹に頼んだ。
あおはその日、山吹のお陰で文芸誌の完成もめども出たような気がした。
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