秋の頃に芽吹く花

「好きです、この作品――」

 みどりは少し浮かれていた。みどりは自分の容姿の美しさの陰で自らが汚い人間であることをどことなく感じることがあった。しかしながら彼女か思う男性はいつもクールな感じを思わせた。そのためかはいつも自身の下心を隠して生きたいと心で感じていた。その汚さを文学ゼミでもみじ先生が吐き出すようにと言うから、彼女はこのころ気になっていた作家の文体を真似て、小説を書いた。

 そして彼女は文芸誌の掲載のはなしから、刈安と知り合い、沸騰ふっとうしそうな羞恥心しゅうちしんを持ちながらも、もみじ教授と刈安がこの小説を絶賛ぜっさんするがために、仕方なく掲載を了承したのである。しかしながら、刈安があおとみどりを引き合わせと事で、彼女は、またはずかしめを受けたような気持ちになっていた。やはり知らない大勢の人にあの作品を見せるのはどうにも耐えられなかった。けれどもあおからもあの小説を高評価として受け入れられてしまった。みどりはあおの言葉を意識しすぎたためか、メールのやりとりたび、自分の身体をイジられる快感に無意識のうち憧れ始めていた。俄然がせん胸のあたりが翼動よくどうするとともに、すぐにまた不安で気持ちが沈みだした。そして、あおからメールが来るたびによろこびがおこる。その繰り返しがたまらなかった。たまらなくなって、自分の身体で遊ぶことがやめられなくなっていった――。

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