寒さの中の温かいところ
「あまり自信はないのですが、
と、さきにことわりがあった。
確か文芸誌の掲載は4回生が中心のはずだった。3回生の彼女が選ばれているのは彼女自身が優秀な証だろう。刈安が目をつけるくらいであるから、頭の良さは本当のことだろうと思う。
「まず中身を確認してみますね」と返すと、
「恥ずかしいですけれど、よろしくお願いします」
と、すぐに返事が来た。あおは彼自身が気づかない間にどことなく彼女に対しする好意のほか、少なからずの嫌悪感の両方を抱いていた。それは本当に不思議といった感情である。
返事をしないままにしておくと、更にメールが送られてきた。
「院生からしたら全然大したことないと思います――」
あおは彼女が恥ずかしさをいかに隠そうとしているかを読み取っていた。彼女自身もどことなく落ち着かないのだろう。彼女の小説は
しかしそのギャップからかあおはこう返していた。
「好きです、この作品。一見怖いけど、引き込まれる魅力があって――」
そしてしばらくみどりからは返事はなかった。
あおは彼女の小説があまりにも
「でもやっぱりあおさんに見られるのは恥ずかしいですよ――」
みどりとのメールのやり取りは夜遅くまで続いた。刈安が彼女の小説のイメージに春画を持ちよったことを考察ファイルから取り出した。挿絵のイメージが
あおはみどりのメールのひとこと一言に彼女の
そして、みどりもあおとおなじ感情を抱いていた。みどり自身もメールのやり取りの中で、
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