少し冷えた風に煽られる日々
あれは院生になったばかりの春だった。あの人は僕を忘れただろうとしたころ、あおはあの人のことを忘れずにいた。しかしもう彼女には会えないとも知っていた。昔の彼女への思いが彼を
初対面で挨拶すると
「よろ〜」という返事で、かなり驚かされた。
身なりは落ち着いているが
「文学ゼミには友達がいてさ〜、時々顔だしてんだよねえ〜」
と、大分ゆるい会話をした。
あおは取り急ぎ文芸誌の方向性を決めるために、教授と掛け合っておいてほしいと
彼女は、
「ん、おけー」とだけ言ってそのまま別のことに気を取られ始めた。
取り付くしまがなくあおはすぐにヴィジュアル研究室を出た。
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