第10話不思議な唐揚げ。

 告白には色々ある。

 放課後、校舎裏で告白。文化祭のクライマックスで告白。メールでの告白。最近ではレストランでのサプライズ告白。

 どの告白も驚きはすると思う。でも、やっぱり一番驚くのは、全く意識してない、長年一緒に過ごした幼馴染からの不意の告白、これが一番驚くのではないだろうか。

 その中でも、今まで信じてきた幼馴染の怖さを知ることになるような告白だとすればまた話は変わってくる。


「あ! チャイム鳴っちゃった! じゃあね!」


「……」


 いつもとは変わらない元気な鶴味の言葉に俺は返事をすることができなかった。

 なんだよそれ。あいつが琴美をイジメていた真犯人? 

 俺はすべてが怖くなり膝から崩れ落ちた。

 学校に行く気力もなく、俺はうつむきながら行く宛もなくただ歩き始めた。

 

「……」


 重い足取りで近くの公園に入りベンチに腰掛ける。何も考えず上を見上げ、ただボーっと空を見つめる。


「……鶴味」


 ため息と共にそんな言葉が漏れる。


「なんだ? そんな暗い顔して」


 ふとそんな言葉が聞こえてきた。だが聞いたことのない声だ。

 知らない人がこんな暗い高校生に声をかけてくる訳がない。気のせいだ。


「……あ? お前無視すんのか! 私だぞ私……って言ってもわからか」


 俺はそんな意味のわからない事を言う少女の方を見る。


「もしかして俺に言ってるのか?」


「いや、お前しかいないだろ」


 なんか生意気なガキだな。見た目はひよこ柄の服という子供っぽい服装なんだがな。


「お前誰だよ。学校はどうした?」


「お前も高校サボってるんだろ」


 気づかれたか。まあ、この格好じゃ気づかれるか。


「んで、お前はどこの誰なんだ?」


 少女はスッと立ち上がりこちらに向き直る。


「私は未来から来た。名前はまだ無い。いずれ分かるがな。まあ、不思議ちゃんとでも呼んでくれ」


 少女はそう言うが俺は未来から来たという謎発言が、名前が無いと言うことが、俺がいずれ少女の名前を知ることになると言うことが、そんな謎発言を俺は気になって仕方がない。


「なんか、不思議ちゃんが言ってることは不思議と信じれるな」


「ふふ。まあ私、なんで」


 不思議ちゃんの言葉を合図にしているかのように強い風が吹き思わず目を閉じる。  

 「じゃあね」そんな言葉が、消える風とともに小さく聞こえたような気がした。

 そして次目を開けた時にはもう、不思議ちゃんはいなかった。


「不思議だ」


 気がつくと俺はそう呟いていた。

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