第162話子供?
「君…本当に子供かい?」
オバジ様が先程からの発言に訝しげにそんな事を聞いた。
「どう見ても子供に見えませんか?」
「いや…まぁ見た目はそうなんだけどね。君と話していると子供と話してる気がしないものだから」
そう言って笑われた。
「よく言われます」
にこりと笑い返しておく。
「他に何か聞きたいことありますか?」
「あとは…ジェイコブ…あの男にされた…嫌な事を聞きたいのだけど…」
言いにくそうに言葉を選んでいる。
「はい…」
私は目を閉じてゴクリと唾を飲む…あの時の事は…もしかしたら一生忘れられないかもしれない…
でもそんな事でこれからの夢も希望も無くしたくない!
私は負けない!
カッ!と目を開くとあの日の事を話し始めた。
私があの時にされたことを話す間…オバジ様も大臣達も黙って話を聞いていた…
途中顔を顰めたり、考え込む表情があったが変に口を挟むことは無かった…
「……これが事件のあらましです…」
一気に話をするとふっーっと深く息を吐く。
息を吐くと全身に汗をかいていた…話す事に集中して気が付かなかった。
ハンカチを出して汗を拭っていると
「それが本当なら…あの男過去にも何かしているはずですね…」
「ああ、この子だけ…とは思えないな」
「はい、そうだと思います…子供の歪む顔が好きみたいでしたから」
「変態が…」
ファイ王子が吐き捨てた。
「同じ屋敷に住んでた人なら少しは何か知ってるんじゃないですか?」
「みんな一斉に屋敷を出ていってしまったんだよ…しかもほとんどの者が口を噤んでいる」
私は少し考え込むと…
「みんな…いやいや手伝わされた…とか?」
「どういう事かな?」
大臣が聞くと
「あの男が後処理とかするとは思えません、みんな無理やり命令されて犯罪の隠蔽を手伝わされた…とかって考えられませんか?」
「なるほど…」
「自分が少しでも関わっているなら口を噤むのも頷けます。罪には問わないから…とか言ってみれば話してくれるかもしれませんね…」
「オバジ様!」
秘書のロードさんが声をあげた。
「ああ、話を聞いてみよう…すまないね。話を聞くはずが逆にアドバイスを貰ってしまった」
「いいんです。これであの男達が罪に問えるなら」
私が笑うと、みんなが困った様な顔をした。
なんだろ?変な事言ったかな?
首を傾げてファイさんを見ると…
「あー……やっぱりミラは普通の子供じゃないね」
「ファイさんまでそういう事言うんだ!もううちに来てもご飯あげないからね!」
ぷいっと横を向く。
「ファイ…お前食事をご馳走になっているのか?」
「王子が?」
「「あっ…」」
私と王子は顔を見合わせるとお互い固まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます