第144話その後

ミラは心地よい眠りから目を覚ました。


すると目の前にはこちらを覗き込むたくさんの顔が!!


「うわっ!」


ミラは衝撃的な光景に思わず叫び声をあげて飛び起きた!


「「「「「「ミラ!!(様)」」」」」」


まずはイーサン様が泣きそうな顔で抱きしめてきた…


く、苦しい…


その後ろからクロードさんにパッドさんビオスさんまで抱きついてくる。

顔をどうにか動かし後ろを見ると…


あの髪…カナリア?


何人抱きついてるんだ…こ、殺される…


ミラは死を覚悟すると


「あなた達!!離れなさい!!」


大声と共に衝撃が来た、どうやらみんな頭を叩かれたらしい…徐々に解放されて息が出来ること


「ミラ様大丈夫ですか!?」


ミネルバさんが心配そうに声をかけてくれた。


「う、うん…ミネルバさんありがとう…死ぬかと思ったよ…」


ふーっと息を吐くと


「ミラ…」


イーサン様がすまなそうに顔を崩していた。


「一人一人にしなさいませ!」


私の様子にほっと胸を撫で下ろしてミネルバさんはイーサン様達に怒鳴っている。


「いいかな?」


イーサン様が恐る恐る手を差し出すと


「うん!」


私はイーサン様の胸に飛び込んだ。


イーサン様がそっと私を抱きしめると…


「よかった…」


心から安堵した様子で声を絞り出していた。


「あっ!そうか私捕まって…」


安心する場所に徐々にあの時の事を思い出して来た。


「イーサン様達が助けてくれたんですね!ありがとうございます」


私はイーサン様にお礼を言うと


「いえ、助けてくれたのは別の方です…」


寂しそうに笑って答えた。


「でも本当によかった…」


イーサン様が助けてくれたんじゃないのか?なら誰が?


しかしなんか聞いてはいけない雰囲気に私はその口を開けなかった。


「よかったね、元気そうでこんな時にすまないけど少し話を聞いても大丈夫かな?」


後ろから聞いた事のない声がした、心配そうなみんなの顔の奥にやはり見た事もない綺麗な顔の男性が立っていてこちらを見ている。


誰だろう?


首を傾げていると…


「ミラが居なくなった事で兵を出して下さった方だよ、この国の王子のファイ様だよ」


あれが王子か!?


確かに王子と言われるに相応しい容姿だね。じゃあ助けてくれた人はこの王子って事かな?


「この度はありがとうございました」


私はペコッと頭を下げてお礼を言うと


「へぇ…やっぱりあの店の子供は少し違うね」


感心した様子でこちらを見下ろす。


みんなが場所を開けると王子がこちらに向かって来た。


私が慌ててベッドから降りようとすると


「ああ、いいよそのままで」


王子が制止させる。


「それにその足じゃあ立てないだろ?」


「え?」


見ると足に包帯が巻かれていた、クイッと動かして見ると…


「痛い!」


痛みに叫び声をあげる!


「ミラ!」


みんなが慌てて声をかけると


「何してるんだ!」


ビオスさんが怒っている。


「だ、だって…歩けるかなって…」


「今は痛み止めを塗っているのです、でも無理に動かしたら痛いに決まっているでしょう」


イーサンが困った顔で注意してきた…あまり怒られた事がないのでびっくりする。


「ごめんなさい…」


しゅんと頭を下げた。


「これ以上怪我を増やさないでください…心配でこちらが倒れそうです…」


イーサン様の悲しそうな顔に私は


「ご、ごめんなさい!もう無理しません!」


慌てて謝るとイーサン様がほっと安堵した顔を見せてくれた。

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