第145話経緯
王子から今回の事で少し話が聞きたいと言うので当事者の私とイーサン様とクロードさん、ミネルバさんとカナリアだけ残って事情を話す事になった。
私はスパイスを買った店で連れ去られた経緯を話すと…
「私のせいで…ミラ様申し訳ございませんでした」
カナリアが自分の為に私が攫われたと勘違いして泣きそうな顔で謝った。
「何言ってるの!カナリアのせいじゃないよ!」
私が違うと否定すると
「そうですよ、悪いのは脅したブレンダンです」
イーサン様が怒った顔で頷いている。
イーサン様があんなに感情的に怒るなんて…
私はイーサン様の様子が気になってじっと顔を見つめる。
「何故君が誘拐されたのかわかるかい?」
「お、王子!」
王子の質問に何故がイーサン様達が慌てだした。
「わからなければ無理に聞き出したりしないよ」
王子はイーサン様達を無視して私に優しく笑いかけた。
「えっと…メアリーお母様に似てるからだと思います。なんかあのおじさん…おじいさんみたいな人がそんな事言ってた…」
イーサン様がはっ!と驚いて口を覆った。
「あの男はそんな事を…」
「後は…面汚しの娘だとか…大人しくその身を差し出せ…とか…あの人…変態だね…」
ハハ…と力なく笑う。
あの時は負けるもんかと踏ん張っていたが今思い出すと恐ろしくなる…
あんな気持ち悪い男に押さえつけられていたなんて…
「ミラ…」
イーサン様が不意に近づいて来て思わずビクッと体が反応した。
イーサン様はそんな私の様子に伸ばした手を止めて、悲しそうに見つめた。
そうじゃない。
気持ち悪いのはあの男だけ…他の人の手は…腕は…違う。
私はイーサン様の固まっていた手にそっと手を伸ばした。
触れると私よりも手が冷たい…そして私が触れたがどうしていいのか戸惑っているようだった。
私はグイッとイーサン様を引き寄せた…そしてその手を頬に当てる。
冷たい手が気持ちいい…そしてほんのり温かさが戻ってくる。
安心する大きな手…あの気持ち悪い手とは全然違う。
「ミラ…」
「イーサン様、抱っこしてよ…いつもみたいに」
私はイーサン様に笑いかけると、イーサン様は頷いてゆっくりと抱きしめてくれた。
イーサン様のお膝に乗せられながら改めて王子と話をする。
「ジェイコブ公爵がそんな変態野郎だったとは…使用人達からもじっくりと話を聞いてみよう…それと…メアリーの事だが…」
王子はイーサン様と私を見つめた。
「はい…もうミラに秘密にしておく訳にはいかないようです…」
イーサン様が悲しそうに私を見つめた。
「あの人…お母様の事を娘って言ってた…それってそういうこと?」
「……」
イーサン様は悲しそうに目を瞑り頷いた。
それからイーサン様は自分があのジェイコブ公爵に仕えていた事、メアリー様…つまりお母様の事を話してくれた…
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