第126話怒り

クロードは顔を真っ赤にして怒りながら出ていくブレンダンの為に扉を開くと…


「今日はありがとうございました。今後ブレンダン様の名前は当店の名簿から消去させていただきますね」


「なっ!なんだと!」


「ブレンダン様を紹介してくださったモリアーティ公爵様のお名前もなくなりますのでお伝え下さい」


「はっ?ど、どういう事だ!」


「どういう事とは…」


クロードは眉を下げて申し訳なさそうな顔をする。


「なぜ名簿から名を消されるんだ!この店の予約をとるのに俺がどれだけ…」


そこまで言って王子がいることに気が付き口を押さえる。


「ですが…店に登録する際の記載にきちんと書いてあるはずですが…『店で揉め事を起こした客や会計を渋った場合店の出入りを禁じる』…と」


「なんだそれ…」


ブレンダンは使用人に任せてそんなものを見ていなかった…


そう言えばなんか言っていたような…


顔を顰めると


「それと…『紹介される場合その紹介人が揉めた場合は紹介者も対象となる…』とも書いてあるはずです」


「お前わかっているのか!俺はジェイコブ公爵家の者だぞ!」


「はい、存じておりますが?そしてそれを紹介くださったモリアーティ様も公爵家だと知っております。しかしそれはこの店では通じませんから…」


クロードは自信満々に笑った。


「では…」


クロードは躊躇する事なくその扉を閉めた。


外に呆然と立ち尽くすブレンダンにリコは声をかけると


「今のはお前が悪いぞ、今日のところは帰ろう」


すると馬車が横に着く。


「クソっ!」


ブレンダンは馬車に乗り込むとリコが呆れながらそれに続いた。


ブレンダンは馬車に乗るなり御者に行き先を告げる!


「モリアーティ公爵家に!」


「えっ!今から行くのか?」


リコが明らかに嫌そうな顔をすると


「あの店を潰します!あんな貴族を舐めた店を野放しにしておけない!」


「だから…」


リコはため息を着くと


「すまんが私は降ろさせて貰う、行くならお前一人で行ってくれ」


「お、王子!」


ブレンダンが止めるのも無視してリコ…王子は馬車を降りると御者に出るように伝える。


馬車が行くのを見送ると…


「さて…どうするかな…」


一人でどう帰ろうかと悩んでいると一台の馬車が隣に止まった!


「これは…ファイ王子では?」


馬車の中から見た事ない男が顔を出した。


「会ったことありましたかね?」


ファイは馬車の男をじっと見るが覚えはなかった…


こんなところで正体がバレるとは…


ファイは警戒すると


「こんなところから失礼致しました。私はこの店ミラージュのオーナーのイーサンと申します」


「えっ!あなたが!?」


先程までブレンダンが会いたがっていた人物だった…


「よろしければお店でお話をお聞きしますが…今日はブレンダン様と御一緒とお聞きしていましだが…彼は…」


キョロキョロとファイ王子の周りを確認する。


「ああ、彼はモリアーティ公爵の屋敷に行ったよ、ここのオーナーの機嫌を損ねてね」


「そ、それは…まさか名簿の取り消しをしたとか…でしょうか?」


「そうみたいだな、俺も巻き添えとは参ったよ」


「クロード…すみません。王子の分はよろしければ今から作り直しますから!」


「本当か!頼む!ここの料理気に入ったんだよ」


イーサンの提案にファイはご機嫌に店へと戻った。

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