第33話再会
ミラはジョンの帰りをソワソワしながら部屋で待っていた。
今日はやっとジョンの独房での謹慎が解けて普通の牢屋に戻ってくる日だった…
ジョンを看守が牢屋まで連れてくるのでミラはベッドの裏に作ってある隠し部屋にひっそりと身を潜めていた。
ローガン達からは危ないから自分達の部屋で待つように言われていたがどうしてもあの部屋でジョンさんを迎えたかった。
ミラの必死なお願いにローガン達も渋々許可を出してくれた。
「いいですか、絶対にここから出ては行けませんよ」
「はい!」
「人が来ても飛び出すなよ!」
「うん!」
「ジョンが開けるまで出ては駄目だぞ」
「わかった!」
ミラは三人の注意事項をしっかりと覚えると頷いた。
そんなミラの様子にローガン達は心配そうに牢屋にミラを置いて仕事場に向かった…
「大丈夫でしょうか…」
落ち着かない様子で仕事をしているローガンに書簡部達のみんなが苦笑する。
「ローガンさん、今日はもう帰った方がいいんじゃないですか?」
ローガンらしくなくなかなか仕事が進まない…見かねた書簡部のみんながローガンの仕事分を分けると
「ミラちゃんのところに行ってあげてくださいよ。それでいつものローガンさんに戻ったらいつもの倍は仕事してもらいますから」
「すまん…わかった」
ローガンは苦笑いをしてお礼を言うと部屋を出て行った。
ローガンが居なくなった書簡部は…
「まさかあのローガンさんがあんな風になるとはな…」
「槍が降るかもしれません」
「有り得るな!」
笑いながら仕事をしていた。
ローガンは自分の牢屋に戻ってくると時間を見る…ジョンが戻ってくるのはお昼前になっていた…看守はジョンを戻したら昼休憩に入るはず、そこを見計らってもう一度行こうと思っていた…
「あと、30分…」
ローガンは時が経つのをじっと待っていた…
く~…
その頃ミラは待ちくたびれて隠れた場所で眠ってしまっていた…
可愛い寝息がかすかにする中ジョンは自分の牢屋へと帰ってきた…
「いいか!もう二度とあんなことはするなよ!今度やったらいくら金を積まれようと許さんぞ!」
看守はジョンを叩きつけて牢屋へぶち込むと…
「すみません…でした」
ジョンは看守に深々と頭を下げた。
「まぁ反省はしている様だな…」
看守は仕方ないとため息をつくとしっかりと鍵をかける。
「しばらくはお前は鍵付きだ、開け閉めは飯の時と仕事に行く時に行う。それで様子をみて問題ないようなら前の生活に戻してやる」
「はい、それで構いません」
ジョンは素直に頷いた。
「なんか素直すぎて気持ち悪いんだよな…」
看守は腕をさすると第一棟を出て行った。
棟の扉が閉まる音がすると…
「ジョンおかえり!」
「馬鹿な奴だな!」
ジョンの帰りを待っていた囚人仲間達が声をかける。
「みんな…心配かけて悪かったな」
ジョンが謝ると
「全くだ!ミラちゃんが大変な時にお前は親失格だぞ」
「本当だな…」
ジョンは苦笑すると
「それで?ミラは何処に行ってる?ローガンのところか?それともメイソンか?まさかハーパーとか?」
ジョンが聞くと
「ええっと…何処だったかな…」
囚人達が急にソワソワしだす。
「なんだあいつらは…」
ジョンが首を傾げると
「まぁローガンのところだろうな…後で連れてきてくれるかな…」
ジョンは久しぶりの自分の寝床にゴロンと横になった…
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