第29話隠し事
ミラは驚いてジョンさんを見つめると
「なんでわかったんだって顔だな…そんなのわかるに決まってるだろ!きっとローガンやメイソン、ハーパーだってわかるぞ。ミラの顔に書いてあるからな」
「うそ…」
ミラは自分の顔を触ると
「どうしたんだ?倒れた事と関係があるのか?」
「……」
ミラがまだ踏ん切りがつかずにいると
「話したいからここに来たんだろ?ここに来るって事はすげぇ大変だったと思う。ローガン達もそれをわかってもお前をここによこしたかったんだろうな」
ジョンの言葉にミラは覚悟を決めた…
もし…もしも受け入れて貰えなかったら…どうにかしてここを出よう。
月に一回の看守が外に出る時間がある…それを使えば自分の大きさなら出れるかも知れない。
見つかったとしてもそれはその時考えよう!
ミラはジョンを見つめると二つの記憶の事を話し始めた…
ミラが考えつっかえながら話すのをジョンは黙って聞いていた。
ミラは話す間…ジョンの顔を見れずにいた。
ジョンさんが驚いていたらどうしよう、困った顔をしていたら…嫌そうな、気持ち悪かっていたら…そう考えるとどんどん顔が下がっていってしまった。
ミラが話終えると沈黙がおきる。
その沈黙を破ったのはジョンだった…
「ミラ、顔をあげろ」
ミラの顎に手をかけて上を向かせる、ミラは恐る恐るジョンを見ると…彼は凄く怒っていた…
ああ…やっぱり…
ミラは必死に泣くのを耐える。
「お前が何を悩んでいるのかわからん!」
ジョンの言葉にミラは…ん?眉を顰めた。
「だから…私はもう前のミラじゃないの、ジョンさん達が可愛がってくれた子じゃないんだよ…」
「そんなわけあるか、お前はお前だ」
「だって、わたしもう一つ記憶があるんだよ!そんなの気持ち悪いでしょ…」
「何処がだ?」
ジョンは心底わからんと首を傾げている。
「お前…俺のベッドでおもらしした事覚えてるか?」
「あー!言わないって約束でしょ!」
急にそんな話をされて顔を赤くすると
「じゃあローガンがお前のお菓子倉庫作ってるの知ってるか?」
「知ってる…甘やかしすぎだよね…」
苦笑して頷く。
「メイソンがお前が生まれてから人を切るの止めたの知ってるか?」
「知らない!いつも怒ると切るって言ってるのに!」
驚いてジョンを見る。
「俺はお前が変わったなんて全然思えん、ミラはミラだ。どんな記憶があろうとな…」
ジョンはいつものようにミラの頭を撫でる。
「本当に…私みんなが知らない事いっぱい知ってるよ…」
「いい事じゃないか、ちょっと早く成長しただけだろ?」
「そんなもんなのかな?」
ミラが苦笑すると
「どんなに成長しても変わっても今まで過ごした時は変わらん、ミラは俺達の大事な娘だよ」
ジョンがそう言って笑うとミラの瞳からポロポロと涙がこぼれる。
「じゃあ…私ここにいていいのかな?」
「当たり前だ」
「またみんなと暮らしていいの?」
「だから当たり前だっての!ここ以外どこに行く気だ!許さんぞ」
ジョンが怒ると、ミラの抑えていた気持ちが爆発する!
「わー!よかったー!よかったよー」
ミラはようやく大声で泣くことができた…
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