第29話 ANOTHER HEAVEN その7

「そのことなんだけどね、井上くん」

「なんですか? また、また発言をするなとあなたの口から言うつもりですか? 星奈さん!! そうはいきませんよ例えメタでもこの世界の根幹に関するツッコミはこれ以上はーー」

「さっき、いえ、たった今、おまけパートに関しては世界観を無視して進行して良いということになったわ」


 なっ、なん、だと!?


「待て待て、誰だ! 誰がそんな勝手をーー」

「世界の声じゃ」

「んなっ!?」


 比較的、まともな方の花愛が真面目なトーンで言い放つ。


「わっちも頭が痛いことではあるが、そのような世界に改変がされた。これもお主が変化を求めたけっかじゃろう。わっちのキャラも定まっていないのか不安定だしの」

「いやいや、その類のメタはダメだろ!!」

「とにかく、本編に直接関わりのない出来事に関しての時代設定は無視する。良いな」

「良くねぇよ!! そんなことしたらーー」

「と、言うことは晴美は胸を張って、◯◯娘をしてよいのですね!!」

「ダメです!! その界隈はデリケートなんだからネタにしたゃダメです!!! ほら、その最新鋭のスマホをこっちにーー」

「あげませんっ!!!!」

「やると思ったよ!! ってか、その流れにするための布石を置かれまくっていたよ!! こんちくしょー!!!」

「勝者!! ナオリエル!!」

「うえっ!?」

「ばっ、バカな……この私がーー」

「まぁ、あんたは弱くはなかったわ。アカエル……」

「えっ……ナオッタ・クラキュリー……私と結婚してくれ」

「けっけけけ、結婚!? ででで、でも、私たちおおお女の子通しだぞ!!!」

「あら、生徒会って、お堅いのね。こっちじゃ普通よ」

「いやいや!! 風紀委員会でも!! 異常だよ!! いつまで遊ぶ気だよ!!!」

「さて、描いたーー」

「歌わせねぇぞ!! 由梨!! 祝福はさせねぇからな!!!」

「っと、ガン◯ムも百合をやる時代になったし、そろそろメインをするか」

「んっ? メイン……だと?」

「そう、プレゼント交換だ!!!」


 初耳なんですが、それは。


「それじゃ、みんな輪になって各々持ち寄ったプレゼントを中央に集めてちょうだい」


 何も用意していないんですが……。


「何してんのよ、薫、さっさとあんたもプレゼント置きにいきなさいよ」

「先輩、早く早く」


 堀部姉妹が急かすように、俺の背中を押す。


「えっ!? いや、俺は何もーー」

「まっさかー、何にも用意してない? なんてことないよねー井上薫〜」

「なっ、愛花!?」

「わっちも一応、用意はしてきてあるぞ」

「あったしもー!!」


 遅れてきた2人と、参加予定すらなかった静ちゃんもそれぞれプレゼントを取り出す。


「花愛!? 静ちゃんまで!?!?」

「実は……えへへ、あたしも」


 控えめに、少し照れながら由梨までもが小さな包みを取り出す。


 しかも、しっかりと赤いリボンでラッピングまでされている。


 急ごしらえで用意したとは考えられない。


「なんで由梨まで!? えっ? そんな話してたーー」

「そうか、そうか、プレゼントがないのはカオル、だけ、かぁ……」


 直の、いやみんながニヤニヤした顔を一斉に俺に向ける。


 こいつら、まさか、揃いも揃って、俺を……。


 ハメやがった……。

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