第27話 ANOTHER HEAVEN その5

「あっ、アカネバルデ……だと!!」

「だせぇ!! 見た目はともかくネーミングセンスが壊滅的にダサすぎる!!」

「ちょっと!! 外野うるさいわよ!!」

「そうだぞ、カオル、一生懸命考えた名前をバカにするのは悪いことだぞ!!!」


 何故か、歪みあってはずの2人が俺に向かって協力関係のような物言いをしてきた。


 あれ? もしかして決闘せずとも万事解決、なのでは?


「まっ、まぁまぁそんな紙相撲なんかで勝負決めずともーー」

「甘いわね!! 薫!!」

「星奈さん!?」

「一度始めた決闘は、どちらかの勝敗が決まるまでは止めることができないわ!!」

「そんなこと誰が決めたんですか!!!」

「決闘委員会、もとい! 私よ!!!」

「星奈さんの独断じゃないですか!!!」

「さぁ、2人とも!! 決闘の場に立ちなさーい!!」


 あれ? もしかして、もしかしてだけど、星奈さん少しだけ酔ってる?


 フリよ、とか言ってたけど、もしかしてこれ……。


「フリじゃなくて、マジ酔いしてるのかよぉぉ!!」


 だとするなら、妙にいつもよりテンションが高い気がするのも納得がいく……。


「仕方ない、やるぞ!! 紅音!!」

「望むところよ!! 直」


 2人がいつの間にか、出来上がっていたプラスチックの土俵にそれぞれの紙の力士を置く。


「では、2人とも準備は良いー? 良いならこれより双方の同意の元、決闘を執り行うは!! ルールはスタンダード、どちらかの力士を土俵外に出した方が勝ちよ!! 立会人はこの神楽坂星奈が務めるわ!!」

「おいおい!! マジでやる気なのか!? トントン相撲を!!」

「ふっ、晴美どっちが勝つと思う?」

「とーぜん、紅音パイせんっしょ!!」

「えっ!? あっ、そうか!! 紅音がグ◯ルポジだから!! 晴美ちゃんと清美の立ち位置はそっちになるのか!!」

「なっ、直ー!! まっ、負けたら、ゆっ、許さないんだからねぇ!!!」

「そんな、スペーシアンぶっ潰したまいなぁ!!」

「おいおい!! まさかの花愛がミオミオで、愛花が◯ュ◯ュかよぉぉ!!! ……って、俺はどのポジなんだよぉぉ!! まさかの氷の……」

「「薫がエ◯ンは絶対にない(わ)」」

「そこだけ綺麗にハモるなぁぁぁ!!!」

「……ハッピーバースデー……」

「呪いの歌を歌って、俺を亡き者にしようとするんじゃないよ!! 静ちゃん!!!」


 だっ、ダメだ……ツッコミが……ツッコミが追いつかん……。


「あの紙相撲が、真の横綱かどうか見させてもらうよ……ナオッタ・クラキャリー」

「エ◯ンポジはお前かよぉ!! 由梨!!! ってか、なんだ、その無茶苦茶な名前は!!!」


 ってか、由梨のやつ、おもしろそうだからってウイスキーボンボンを食べる前まで戻せるはずなのに……この、お騒がせトラブルメーカーめ……。


「両者!! 交顔!! 口上をお願いするわ!!」

「勝敗は、力士の質だけに決まらず」

「製作者の技のみで決まらず」

「「ただ、結果だけが真実!!!」」

「フィックス・リリース」


 かくして、直と紅音の決闘(トントン相撲)はこうして、幕を開けたのだった。


 いや、なんだ!! これ!!!


「行け! 私のナオリエル!!!」

「負けるんじゃないわよ!! アカネバルデ!!」

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