第21話 あなたの選んだこの時を その11
「……玲……」
「正直、驚きました。この時期のあなたが僕を、認知し、そして、僕の力を妨害するなんて、ね……」
「あの……どなた、ですか?」
「うちの生徒じゃないわね。あなた」
「なんだか、好きじゃないわ。あなた」
「尾張……玲……」
「姉さん……か。そんな風に一ミリも思っていないのに、よく口に出せたな。弟よ」
「アハハ、まさか、世界を終わらせる力と始める力に既に覚醒済みなんて……そりゃあ、鼠も1匹自由に動けるはずだ。そうだろ? 由梨」
「……最悪。あんたに名前、呼ばれるなんて」
俺たちの前に、忍者のように由梨が突然現れ、玲に対して悪態をつく。
「散々な言い方じゃないか。由梨、忘れてないよね? 君は、僕がいなければその存在すらなかったというのに、君は、井上薫が倉沢直を失った後のただの代替え品でしかないというのに!!!」
「っぐ……」
「由梨は、もうお前のおもちゃでも、直の代替え品でもない!! 俺の、大事なハーレムメンバーだ!!」
「……ハーレム……メンバー……それは、本来、倉沢直、神楽坂星奈、堀部清美、涼宮晴美、草野愛花、長月紅音の6名だったはずだ……それを、更にクロノス、由梨とまだ増やすつもりか?」
「あぁ、そこにカオリも入って9人だがな!!」
『はぁっ!? カオル、お前何言ってーー』
「言っただろ!! 今度は、今度こそは全てを取り戻し、そして全てを受け入れる。そのためには、カオリ、静ちゃん、鞠奈ちゃん、そして、誠一と誠二始まりの5人も含めてだ!! まっ、男をハーレムメンバーにするっていうのは、少し抵抗があるがな……」
「……どこまでも強欲だね……君は……」
「そして、玲!! お前も俺のハーレムメンバーになってもらうぞ」
「はっ?」
「そうだな、弟として存分に可愛がってやるからな!! 玲!!」
「はっ……ハハハハ!!!! 笑わせてくれるよ!! 僕をハーレムメンバーに? そこの悪魔の女の娘と同じく、僕を囲うだって!! 冗談もいい加減にしておけよ……僕の全てをねじ曲げる力でお前の存在事態をなかったことにだって出来るんだぞ!!! 井上ぇぇぇ!!!」
「玲……やれるものならやってみろよ? その瞬間、この世界は終わりを告げることになるぞ」
「そして、私が新たに始める。薫がいて、星奈がいて、清美がいて、晴美ちゃんがいて、愛花や花愛、紅音や静ちゃんみんながいる世界をな!!」
「本当にむかつくな……父さんの傀儡として光を失った人形だったくせに……ここまでいきがるなんてね!! 倉沢直ぉぉぉ!!」
「お前の知る人形だった私を私は知らない。だが、どんな私も完全に光を失うことはない!! 薫が!! みんながいる限りな!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます