第3話


私が神木田 杏をいじめてるという噂が出たのだ。私は当然の事ながら否定した。ちがう。と。だが、発した言葉は綺麗にかききれた。

そのうち剣道部でも噂を聞いた部員が私を避けるようになった。それはもう、いじめと変わらない。

私は忘れていた。神木田 杏もいじめられてたことを。

それからだった。屋上でご飯をたべ、小説を読み、チャイムがなったら教室に戻る。クラスメイトにも、無視されぼっちの生活。この学校のどこにも私の居場所はなかった。

屋上に行くようになって、2週間ぐらいたった時、神木田 杏はきた。

「青沼 京華ちゃん。ですよね?京華ちゃんとは話したかったんですよ!嬉しいな〜」

ニコニコしたその満面の笑みが私にはただの嫌味にしか見えなかった。なんで。なんで。なんで、あんなことをされたのに平然と笑っていられるの。私を陥れてそんなに楽しい?そんなに、憎いことを私はした?ねぇ!

「なんで!」

私の口からはなんでという問しか出てこなかった。

神木田 杏はビクッとして、こっちを驚いて見つめている。

「私がそんなに憎い?私はそんなに憎いことをあなたにした?私が何をしたって言うの!あなたのせいで私は部員に無視され、クラスメイトにも無視されて、もう、どこにも居場所がないのよ!私はあなたのせいで、部活を辞めるはめになってるの!ねぇ!何とか言いなさいよ!なんでよ。」

私は立ち上がって怒鳴っていた。神木田は、もう驚いた顔をしてなかった。

「なんで、。京華ちゃんがちょうどいい強者で私がちょうどいい弱者だった。ってだけの話じゃないかな?それに、京華ちゃん。京華ちゃんが部活を辞めることと噂は関係ない。京華ちゃんがやりたいならやればいいじゃない。居場所なんて、いくらだってある。」

神木田は、1呼吸置いて、空を見ながら

「世界は広い。」

そう言って、神木田はご飯を当然のように食べはじめた。私も、座ってご飯を食べた。

2週間目に食べたお弁当はどの日よりも冷めていたように感じた。



「何ボケーとしてんのさ」

「え、あー。杏の変人さ加減を振り返ってた。」

背中を思いっきし叩かれた

「変な振り返りすんな」

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