第2話
1回私は高校生活をドロップアウトした。しかけたという方が正しいか、
漫画とかである、いじめにあった。
いじめと言うにはあまりにも酷かったとおもうが、
今でも、思う。私はなにか間違ったことをしていたのだろうか。いや、そんな問いを投げかけたって、かえっては来ないし、ましてや、あの時のことを思い出すなんてごめん蒙りたい。
私はあの頃の私にはもう戻れない。
♛
水曜日。
あの1年との約束の曜日がきた。力むことはないと言い聞かせながらも、どこかそわそわしている自分がいる。
後ろから声がした、
「京華、今日は水曜だネ」声の主は知っている。
「杏。そのニアニアした声やめて。」
低身長で白い腕に細い足、可愛い声。女子の代名詞といったら私は杏以外に思いつかない。
「聞いてよ〜京華ちゃん!この間言ってたアイスがいつ行っても売り切れなの〜だからさ、今日、買いに行こ!」
「相変わらず、疑問形じゃなくて決定事項な、授業、サボらなかったら行ってあげるから。」
杏はいつだって自由奔放だ。悪くいうなら、わがままお姫様と言ったところか。
「行ってらっしゃいっ」
くすくす笑って言う杏は憎らしがったが可愛かった。
「はいはい、行ってきますよ〜」
私はいつものセットを持って屋上に続く階段をあがる。
立ち入り禁止の看板に意味なんてない。なんで、置いてあるのか、屋上に行くようになってからの疑問でしかなかった。
屋上の鍵は壊れているから誰でも簡単に開けられる。
屋上の扉を開けるとあの後輩がちゃんといる。
「どうも。3年生って4時間授業じゃないんですね。」
「4時間授業だよ。たまに、6時間目まであるだけで。」
わたしはコンビニの袋からおやつを取り出した。何をするのかはわからなかったけど、とりあえず本を読んだ。
「なんの本ですか?」
会話を広げてくれているのだろう。
「恋人が殺人鬼でも愛し続けてしまう人のはなし。」
「へー。くらいですね。」
え、会話終わっちゃったよ。
如月も本を読み始めた。
「お前こそ物騒な本読ん出るよ。」
如月は本を閉じて表紙を確認した。
「いつもはしてますよ、。でも、僕カバーってものが嫌いだから、屋上は先輩しかいませんし。」
嫌いなのはわかるけど。
「お前、太宰治にでもなるつもり?」
如月の読んでる本は、「『自殺未遂にならない方法と自殺に関するポイント。』ですね。」
「ですねじゃないよ?その本を教室でも読んでんのか?買った時に店員さんに止められなかったか?あ、オンライン!オンラインなの?」一息に言い終えた。自分が馬鹿らしくなって穴があったら入りたいとはこの事だった。
「先輩、ツッコミのセンスいいですね〜」
「うるさい」
私は如月の隣に座った。ご飯を食べる準備をいそいそと始める。
「ちなみに、オンラインじゃなくて、ちゃんと書店で買いましたよ。止めてはくれなかったですね〜冷たい目では見られましたけど。先輩だったら止めてくれたのかもしれませんね。早い時点で。」
なんか、言い方に寂しさがみえたから、なにか言おうとしたけど、見つかりもしなかった。諦めて、おにぎりをほおばる。1個食べ終わるまでは長い沈黙だった。
「止めたこと、悪いと思ってるよ。」私は2個目に手をかけた。如月は何も言わなかった。私の一言は独り言として、役目を終わろうとしていた。
「自殺を止めて謝る人なんてそうそう居ないでしょうね。」
何人もの偽善者を見てきたような目だった。
私はどうすればよかったのだろうか。
私も偽善者みたいになるようで、やめて欲しかった。
そのままなんの会話も交わさずチャイムがなった。
「きょうかっ」階段の下には教科書をもって待っていた杏がいた。杏と如月は互いに会釈した。杏は私の顔を見てニヤニヤした。
「じゃあ。また、来週。楽しみにしてますね」
「じゃあ。」
それだけ言って、1年生の教室がある方に戻っていく。
私は杏から教科書を受け取った。移動になるといつも届けてくれる杏には感謝しかない。
「ありがとう。あいつももっと早く言ってくればいいのにな。」
そんな発言は無視された。
目をキラッキラにしてこっちを見つめてくるあんの目を私は知っている。
はじまる。
「え?なに!あの子!?あの子なの!イケメンじゃない!背も高いし、顔もいいし、筋肉の付け方も完璧。中学ではスポーツ得意だったんじゃないかな!とくに腕があんなに綺麗についてるのは感激。それに、年下でしょ?めっちゃいい、優良物件じゃない!」
この筋肉好きのバカどうにかならないものか。
「そんなんじゃないから。それに、杏。今の季節なんだと思ってんの、冬だよ?全く腕なんて見えなかったじゃない。」
「いつものことでしょ!」
いつもの事なのが怖いんだよ。
杏は、筋肉フェチ。周りからはよく男好きだと思われてるがそうじゃない。なんなら、男よ。女だったら触られるぞ。
杏は、筋肉が好きなだけの変人だ。
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