一番重要な情報が入ってこない


「さて、残るはお前達だ」


 部屋に残った男達を見る……けど皇帝はともかく他は誰が誰だかわからん。

 ま、いいか…疑わしきは罰する。


 俺がそう思ってると皇帝が初めて口を開いた。


「貴様等は…一体何故このような狼藉を働くのだ? そこに転がっている第三王子ハリエルやオルファンが何をしたというのだ」


 …この期に及んでしらばっくれるとか…面の皮厚すぎるだろ。


 帝国の王子の頭を掴んで持ち上げる。


帝国王子コイツは薄汚い欲望を満たす為だけに、帝国お前のとこの兵士を使ってフィーリア国の村を焼いて、年端もいかない少女を拐った」


 次に帝国勇者オルファンの頭を掴んで持ち上げる。


「そして帝国勇者オルファンはよりによって私利私欲の為に、魔王軍と取り引きをした…これがどんな意味を持つのか分からない訳じゃないだろ?」


 魔王軍と取り引きをする…そんなことをすれば周辺国から外交で袋叩きにされるだけじゃ済まない。

 各国に支部を持つ教会を敵に回し、下手をすれば戦争にだって発展する。


 それに



 それに…



「そのせいで茜が死んだ」


 自分が今どんな顔をしているかなんて分からない。


「お前達のせいで茜が死んだ」


 男達の顔が恐怖に染まる。


 本当はわかっている。 あの時油断をした俺にも責任があることを。


 でも、だからと言って皇帝達コイツ等を殺さない理由にはならない。


「待ちたまえ、勇者ハルトよ」


 聖剣アカネを構えようとすると男の一人が話しかけてきた。


「何か証拠はあるのかね? 我々帝国が魔王軍と通じてたという証拠が」


 そう話すのは長い金髪を後ろで縛った男だった。 どこか帝国勇者オルファンに似てるような…。


「あぁ、心配しなさんな。ちゃんと証拠はありますぜ物的な証拠が」


 そう言って部屋へ入ってきたのは勇者パーティで斥候スカウトをしていたギドだった。

 その手には何かの文字が記された羊皮紙が何枚か握られていた。


「これは帝国アンタ達が魔王軍と取り交わした契約書。 コイツは契約が生きている限り燃やすことも破くことも出来ないし、無理に契約書を破棄しようものならその対価に命を持っていかれる…そういう呪われた契約書だ」


 そうギドが話すと

「い……命?! 馬鹿な、訊いてないぞ?!」


「おのれ…我々を謀ったのか!」


 等と自分達が関与していることを自供しはじめる男達。 …いや、この場合は自白か。


 先程と違い、皇帝や帝国勇者オルファン似の貴族は青い顔をしてギドの持つ羊皮紙を見詰めている。



「ああ、こうして直接会うのは久しぶりですねハルト様」


「そうだな、これはレーネ達に頼まれたのか?」


「正式な依頼主クライアントは姫様ですがね。 聖女様やエミリアの嬢ちゃん達からも頼まれましたよ」


「……そうか」


 ギドの登場で少し冷静になる。


(……)


 先ほどからアカネが静かなのが気になる。

 ……怖がったりしてないよね?


(悠君…あれ)


 そう言ってアカネはギドが持ってきた羊皮紙の一枚を指さした。 よくみたらその羊皮紙だけ、他の契約書とは比べ物にならないほどの魔力を纏っている。


(あれ、さっきの人の契約書…まだ


 …え?


 でもさっき…。


「ひ……ヒイィィィィィ?!」


 部屋にいた男の一人が指差した先には、先程まであった筈の貴族っぽい服を着た死体と騎士の鎧を着た死体が無くなり、自身の体をまるで汚いものを見るような眼で見ているグリーズランドが立っていた。


 全裸で


 俺はアカネの目を手で隠した。



 ―――――――――

 遅くなってすいません


 そしてまだ投稿するつもりの無かった新作を誤投稿しました……よければどうぞ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る