オマケ ある晴れた昼下がり 天川家にて
(第三者視点)
ある晴れた昼下がり。
「はるちゃん!」
「あかねちゃー!」
「きょうはねぇ おままごとしよっ」
「きのうもしたよ?」
「だめ?」
「いーよ!」
「はるちゃーんっ」(ハグ)
「あかねちゃー」(ハグ)
こんな子供達のやりとりを、二人の母親である天川 小百合と地堂 綾音は天川家のリビングでお茶をしながら眺めていた。
シーズーのコンも窓際で暖かな陽射しを受けながら、眠そうな目で
「微笑ましい光景よねぇ」
お茶を一口飲んで綾音が口を開く。
「そうね、これが一週間連続のおままごとじゃなければ尚更ね」
小百合は困った笑顔を浮かべる。
「…はると君も付き合いのいい子よね」
「悠人は茜ちゃんの”お願い”は絶対断らないからねぇ」
「明日もおままごとって茜が言ったら?」
「即OKでしょ」
((この子達…将来大丈夫かな? ))
少しだけ二人の将来が心配な母親達だった。
リビングの床にシートを敷いておままごとを始める悠人と茜。
二人の『おままごと』は毎日設定を変えて行われるが、参加メンバーが殆んど
前に母親達が参加しようとしたら、茜が光のない虚のような視線を無言で向けてきたのでそれ以来二人の邪魔はしないようにしていた。
恐ろしい子・・・!
「今回はどんな設定なんだろ?」
「んー、前回は『引っ越して疎遠になった初恋の幼馴染みが通っていた高校に転校してきた』……だっけ?」
「それは前々回よ。 前回は『地上に人が住めなくなった世界で、地下世界に暮らす将来を誓いあった幼馴染み達が地上を見に行く話』よ」
「懲りすぎてて怖い」
しかも大概の場合、設定を生かしきれずにただ悠人と茜がイチャイチャして終わる。
もうそれでいいんじゃないだろうか?
「しかし我が娘ながら謎の幼馴染み推しよね」
綾音がニヤニヤしながら小百合を見て言う。
「えーと…そ、そうね」
これに対し小百合は少し恥ずかしそうに顔を背けながら答える。
実は悠人の父である善二郎と母の小百合は同じ幼稚園、同じ小学校に通っていた仲の良い幼馴染み同士である。 悠人達と違うのは中学に進学すると同時に、小百合の父の仕事の都合で引っ越しをすることになった為に離れ離れになった。
小百合は幼稚園の頃から善二郎が好きで、離れる際に『もし18歳になってもお互い付き合ってる人が居なかったら私と結婚して下さい!』と、実質的なプロポーズをしていた。小百合の方は普通にガチだったが、善二郎の方は小百合が仲の良い友人である自分と離れるのが嫌で、勢いで言っちゃったんだろうな…位に思い、深く考えず了承した。
因みに学生時代、小百合もだが善二郎はかなりモテた。身長が高く、勉強もでき、容姿も整っていて、少し調子に乗りやすいが穏やかで優しい性格で他校の女子から告白されたりもした。 しかし善二郎は高校卒業まで誰とも付き合ったことはない……そう。
善二郎は朴念仁だった。 しかも女子からの告白は『交際はお互いよく知り合ってから…』と断る。
高校時代に知り合って友人になった真人と、その彼女の綾音はそんな善二郎を呆れた目で見ていた。
しかし高校の卒業式が終わり。善二郎、真人、綾音の三人で帰ろうと校門から出ると善二郎は他県の女子校の制服を来た小百合に声をかけられる。
『善二郎君! あの日の約束を覚えていますか? もし、今付き合ってる人が居ないなら私と結婚して下さい!』
このことについて善二郎が『もしあの時、俺が他に付き合ってる人がいたらどうするつもりだったんだ?』と、問うと『その時はその時! 泣きながら駅弁食べて帰ったかな?』と答えた。
そして今でも綾音にはあの時のことをからかわれたりする。
そうこうしてる内に、おままごとが始まったので静かになる小百合と綾音。 今回のは『どんな複雑な設定なんだろ?』と楽しみな二人。
そして開始と同時に茜がお腹に手を当てて
「はるちゃん わたしできちゃった!」
「……?」(何もわかってない無邪気な笑顔)
「おい綾音、茜ちゃんに何を教えた?」
ドスの効いた小百合の声に顔を青くして半泣きの綾音。
「違うもん…私何も教えてないもん…」
もんて。
そしておままごとの中で時が進み、産まれた子供役としてコンが無理矢理連れてこられた。 昼寝を邪魔されて、尻尾が垂れ下がるコンに小百合達は心の中で土下座した。
「はるちゃん わたしそろそろふたりめがほしいっ」
「うんっ」(わかってない)
「おい綾音そこに座れ」
そうして穏やかに(?)時が過ぎる。
暖かな陽射しの注ぐ天川家での一幕。
――――――――――
明日も本編更新できそうにないんで前書いて下書きのまま忘れてた話上げておきます…
申し訳ない
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