どっちが素なんですか?

 帝国兵、帝国勇者オルファン赤牛頭レッドミノタウロスに続いて俺を取り囲むせい…聖女性女達。


 剣聖剣性セラがこの場に居ないとはいえ三対一か。


 いや、三対一でも負けることはないが……正直少しも触れたくない。

 ギラついた目からは知性の欠片も感じない、穢らわしい。


 桜花がいれば余裕なんだが…。


「オウカ様がいれば…なんて考えていませんか?」


 レーネがまるで聖女みたいな優しい笑顔で思考を読んできて気色悪い。


「ふっふっふ、図星……ですね。 残念ですが師匠、そうは問屋が卸しませんよ」


「ええ、セラ様は犠牲になったのだ…ですわ」


 浮かばれないなそれ…。


 前方に性女レーネ、左右にゴリラエミリアドリルファルナ…そして俺達の周りをコンが走り回っていてカオス。


 だがっ!


 後ろが!


 がら空……



 俺の後方では、いつの間にか起きたアカネがカバディをしていた。


 訳がわからないよ…。


「隙ありです!」


 あ…これ普通にヤバい…


 と、思った瞬間



「何をしている貴様等ぁぁぁぁっ!!」


 向こうの方から、白目をむいてぐったりしているセラを引きずりながら、鬼の形相の桜花が猛ダッシュしてきた。


「げぇっ オウカ様!?」


 …ん? 今一瞬、銅鑼の音が聴こえたような……気のせいだよな?



 ――――――――――


「「「「ごめんなさい(ですわ)…」」」」


 腕を組んで仁王立ちする桜花の目の前で、地面に正座する四人。


「あの…ウチだけなんで二回もぶたれたの?」


 目を覚ますと同時に、拳骨をもらったセラが納得いかない顔をしている。

 ま、セラは頑丈だからな……なんて言ったら五月蝿いから黙っとこう。


「私が目を離した隙に貴様達ときたら…」


 因みに飽きたのか、アカネはまた俺の背中によじ登り寝ている。

 …コンは正座をしている四人に後ろから砂をけていた。 死体蹴り担当なのかな…?



 ――――――――――


 帝都までは馬車で10日程なので、俺と桜花が全力で走れば1日で着く…が、帝国の王子と帝国勇者オルファンという荷物があることと、流石に少しは休憩しないとキツイので途中で休息をとることにした。


本当はアカネにも色々訊きたいこともあるんだが……。



 レーネ達は少女達と残ってもらい、夜営に使える道具を借りる。


『ありがとう、助かる』


『いえ…。 こんなことでしかお役に立てませんから。 どうかご無事に、お帰りをお待ちしております…それと、帝都についたらギドさんと連絡をとって下さい』


『ギド? 今は帝都にいるのか?』


 ギドは勇者パーティの仲間で斥候をしていた。 戦闘力では他のメンバーには敵わないが、堅実で斥候としての腕は確かだ。

 若いころはシーフとして活動していたらしいが、いつの頃からか盗賊稼業から足を洗い、斥候として冒険者をやるようになったそうだ。


『はい、ギドさんには私達より早くから動いてもらってます』


 レーネの言葉に引っ掛かるものを感じる…。


『…ティセニエラ様のこと…どうか…』


 最後にそんな言葉が聞こえた。


 一体どういう…?




 ――――――――――


 こんな話にするつもりじゃなかったんです……あと短くてごめんなさい。
















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