フラグは自らたてるもの(オルファン視点)


(オルファン視点)


 やれやれ…第三王子ロリコン野郎の子守りも楽じゃないですね…


 糞田舎フィーリアの国境付近に設置したテントの中で、私はかなりイライラしていました。


 …あの糞田舎フィーリア売女ビッチ共め…折角この勇者オルファン・シュレー自らが、ゴミのような練度の虫けら兵に訓練をつけてやったというのに……。


 普通なら泣いて頭を垂れるべきでしょう。

 それをよりによって「新人イビりが趣味なのですか」だと?


 ああ忌々しい。


 それに…


 何が魔王討伐を成した真の勇者ハルトだ!


 あんな異世界人が勇者であるものか!私が親切にも新人勇者にこの世界の常識を教えてやろうとしたら、いきなり殴りかかっきた野蛮な山猿め…!


 聞けば奴のパーティメンバーは『雷光の勇者』や『羅刹姫』、『銀槍』に『不動』と錚々たる面子だとか…どうせ魔王との戦いでも仲間の陰に隠れて震えていたのではないのですか?


 友軍の撤退時間を稼ぐ為に、万に近い魔王軍相手に少数で殿を務めた。


 魔王軍の拠点を幾つも落として、幹部を単独で撃破。


 陥落寸前と言われた城郭都市を救い、挙げ句の果てに等と…


 どれもこれも下らない噂ばかり、そんなことできる訳がない。どうせ糞田舎フィーリアの猿共が、自国の権威を高めるために自分達で流したのでしょう。


 大体、召喚勇者は三人いたのでしょう?何故ハルトの名前ばかり…いや、一人は間抜けにも死んでしまったんでしたねぇ…その報告を聞いた時は…


 いやぁ、胸がすく思いでした!


 しかもが使われたとか…


 あんなイカれた術を大真面目に使用するとは思いませんでしたねぇ。


 かなりの数の生け贄が必要、魂の持つ魔力量にもよるようですが、魔法の使えない一般人のものだと数万は必要だとか。


 魔王軍の命でも幾ら必要だったのやら……どんなに強力でもコストパフォーマンスが悪すぎますね。


 しかも直接刺さなければならないとか、それができるなら普通の武器を使用しても一緒なのでは?

 …とも思いましたが、召喚勇者を確実に殺し、術の呪いで魔法でも生き返らせることを出来なくする。

 魔王軍彼等も敗北続きで形振り構ってられなかったのでしょうねぇ……くっくっく。



 私からの申し出をあんなにすんなり受け入れてもらえるとはね。


 禁術の提供に召喚勇者のパーティとの戦いで奴等を孤立させること…

 もし魔王軍との内通がバレでもしたら…大変なことになるでしょうね、教会から神敵に認定されるでしょうし。

 そうなればもう終わりですね…ま、もし知られたらの話ですがね、万が一誰かに知られたら見返りに渡された『あれ』を使って消してしまえばいい…。



 しかしあの変態野郎ロリコンはまた飽きもせず盛ってるんですかねぇ…いい加減ウンザリですね。


 そういえば糞田舎フィーリアの王都から帰ってきてから、兵士の人数が減っているようですが……いくらなんでも羽目を外しすぎですね、帰ってきたら……


「オルファン様!」


 見張りをしていた兵士が慌てた様子で駆け込んできました。


「なんですか、騒々しい」



「はっ! …あの、フィーリアとアガレスの勇者を名乗る者がオルファン様に会わせろと…」


「…は? 有り得ません、そいつらは魔王を討伐して元の世界に帰った筈ですよ」


「いえ、あの…しかし…」


 この兵士の様子に思わず舌打ちをして


「……はぁ、もういいです。 私が対応します」


 何者かは知りませんが下らないイタズラを…生かしては帰しませんよ…。



 ――――――――――



 一級フラグ建築士のオルファン様


 取り引きは帝国と魔王軍の間に正式になされたものではなく、あくまでもオルファンとその後ろ楯の貴族と魔王軍の一部とが勝手に行ったもの。


 当然帝国も「知らなかった」では済みませんが


あ、口調を少し修正しました。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る