異世界人はすぐにフラグをたてる
「ニル村が襲われたのは大体1週間程前よ、目撃者もないから細かい日付まではわからないわ。」
「犯人の目星は?」
「ただの野盗だったらまだ良いんだけど……多分違うと思うわ。」
良くはないだろ…しかしどういう意味だ?
「根拠はあるのか?」
「建物は全て壊して死体は全て焼く、ただの野盗にしては随分と丁寧な証拠隠滅してるし……そして死体には女性や子供のものと思われるものもあったわ。」
不愉快な話しだが。
「それは…普通にあるだろう。」
「あんたの世界じゃどうかは知らないけど、この世界じゃ人間は立派な戦利品よ、特に小さな村だとロクな資産も無くて、一番価値があるのが人間というのも珍しくないのよ……売ったり欲望を満たしたり、わざわざ村を一つ滅ぼしてまで手にいれたのに、それを持ち帰らないでその場で処分するなんて不自然よ。」
俺自身こっちの世界にかなり染まったと思ってたけど、まだまだ馴れない所はあるな。
まあ、俺はほぼ戦ってばかりだったからな……それ以外はパーティメンバーに頼りっぱなしだったし。
皆俺が頼ってくれないって思ってたかもしれないが、俺としてはかなり助けられてたんだよな。
「……具体的には何をすれば?」
俺は戦闘以外だと役にたたないからな……。
――――――――
それから念のため幾つか魔導具を持たされて直ぐ出発をした。 ティセニエラは何故か最後まで俺に行かせるのを渋っていたが結局エルフレアに押しきられていた。
身体強化をかけて全速で大地を駆ける、目標はニル村から馬車で1日程離れた場所にあるメリド村。
フィーリアの王都からだと普通に行けば馬車で5日位なので、俺なら半日もあれば着く距離だ。
今回頼まれたのはメリド村の安否確認と可能ならばニル村を襲った犯人を殲め……捕縛すること。
ただ、場合によっては大規模な戦闘になる可能性もあるため、その時はOKだそうだ(何がとは言わない
今向かってるメリド村にはまだ旅に出る前に、修行の名目で近くのダンジョンを攻略をする際に何日かお世話になった。
村人全員で100人に満たない小さな村だが、滞在中は良くしてもらった。
ティセニエラ位の年齢の兄妹も居てよく話し相手になってくれた、名前は確か兄がセルジュで妹がユーリだったか。
彼等は元気だろうか? ……何事も無ければいいんだけど。
――――――――
(???視点)
やべぇ、これめちゃくちゃ楽しい!
あちこちの建物から火の手が上がり、田舎臭い村人の悲鳴が聞こえる。
任務とはいえこんな田舎に駆り出されて最初はイラついていたが、こんなボーナスがあるなら話しは別だ。
「おい、村の出入口はしっかり塞げ、一人も逃がすなよ。」
たい…ボスが出入口を見張ってた奴が、お楽しみに参加たそうにウズウズしてたのを嗜める。
彼奴らも運がないよなぁ…ま、くじ引きで決まったことだから仕方ないよな。
しかしさっきからおっさんや爺と婆さんしか見当たらねぇ……どっかに隠してんのか?
さっきの斬ったおっさんから聞き出せばよかったな、失敗したぜ…。
お? ……んだよ折角女を見つけたのにもう他の奴に追いかけられてるのかよ。
ま、早い者勝ちだからな…他の奴の獲物に手を出したら後々面倒臭いからな。
あー、クソ!ムラムラするぜ…
まだ火がついていない建物を見つけたので扉を壊して侵入する。
部屋の中を見渡しても誰もいない、ハズレかよ。
……ん?
床の一部に違和感を感じた、よく見たら取り外せるようになっていたので外してみると、中にはガキが二人震えながら身を寄せあっていた。
しかも一人は女で結構可愛い、ツイてるぜ。
「っ!……く、くるな!」
「お…お兄ちゃん…」
男の方が小さなナイフを構えて威嚇してくる。
コイツは要らないからさっさと殺すか…その後でゆっくり女をいただくとしよう。
オレが二人に近づこうとしたら外の方からデカイ音がした。
クソ…いいところで!
外に確認しに行きたいが、折角見つけた獲物に逃げられるかもしれない…。
そんなことを考えていたら外からボスの絶叫が聞こえた。
チッ……こんなことしてる場合じゃないか。
勿体無いが緊急事態だ、俺はガキ二人を放って外に飛び出した。 すぐに魔法が撃てるように予め魔力を練っておく。
そして俺が見たのは至るところに倒れている同僚達だった
敵襲か?! 一体誰が?
その時オレの目に、両手足のなくなった隊長を引きずって歩く悪魔みたいな男が写った。
―――――――――
シリアスやりきる…がんばる…
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