正座は言われる前にするもの


「あのねハル君、色々聞きたいことがあるんだけど。 取り敢えず……何で正座してるの…?」


 なんでだろうか……そう、理由があるとすれば。


「ガイアそう囁いてるから……?」


「私が止めてって言ったら?」


「止めます。(即決)」


 たかがガイア如きの囁きと茜のお願いでは、比べることすら烏滸がましい。


 あ、でもガイアって女神なんだっけ?


 ……うーん、まあ、茜も(俺にとって)女神様みたいなものだし何の問題もないな!


 ソファに座り直すと茜が隣に座る。


「えーと、昨日のことなんだけど。」


「うん。」


 昨日のこと……正直色々ありすぎてどれのことなのかも分からない。 とゆうか、どれもヤバイのでは?


「その…昨日の記憶がね、どうにも曖昧なの。」


 記憶の薬の筈なのに…そもそも本当に記憶の薬だったのか? ……もう少し分けてもらえないだろうか? また三人のお世話がしたい。


「曖昧? うっすらは覚えてたりする?」


「うん、ただ、いまいち現実感がないというか…小さい頃のわたしや桜花ちゃんや桃花ちゃんが、お世話をされてたような……。」


 いやまさにその通りなんですが? なんならもっとお世話したかったんですが?


「……そうだね、それであってる。 昨日の薬のことを覚えてるよね?」


「薬って、あの綺麗な瓶にはいってたやつ?」


「そう、多分だけど、そのあたりから記憶がハッキリしてないはず。」


「……うん。」


「あれは記憶が戻る薬……だったはずなんだけど。」


「記憶……ハル君、誰の記憶を戻そうとしてたの? 」


 正直、ここまで話すつもりは無かった。


 ただ……昨日の夜の会話で茜が強く不安を感じていることを知った、これ以上そんな状態で問題を先伸ばしにはできない。


 普通の人から見れば荒唐無稽な話しだろう、茜は……どう思うだろうか。


 俺は無言で茜を見つめる。


「わたしの記憶…それって、最近よく見る夢と関係ある……?」


「ああ、それは間違いなく茜自身の記憶だ。」


「そう……なんだ。 そっか……だからあの時、桜花ちゃんを見て……」


 茜はそう呟いて、何かを考えこんでいた。


「俺は茜が記憶を取り戻してくれたら良いなって、勝手に思ってた。 でも茜は…どうしたい?」


「わからないよ…わたしの知らない記憶なんて……。」


 不安そうな茜、思い出したいが半分、思い出したくないが半分、そんな感じの反応。


「ゆっくり考えてくれればいいよ、俺が…ずっと隣に居ることに変わりはないから。」


 無言で頷く茜を抱きしめる。


 情けない話しだと思う、こんなことしかできない自分にイライラもする。


 茜は何も言わず強く抱き返してくる。


 暫くそうしていたが、茜がゆっくり離れようとする、それが何故か寂しく感じて茜をもう一度抱き寄せた。


「…ぁ……もう、ハル君……」


 茜の頭に顔を寄せると、何だか甘い香りがした。


「ねぇ、でも今の話しだと、どうして記憶の薬で子供の姿になったの…?」


「それは俺も知りたい。」


 いや本当に。


「それと。」


「はい…。」


「昨日のお風呂のことなんだけど…。」


 ガイア< 正座なさい


 俺はガイアの囁きに従った。



 ―――――――――



 次はオマケ(お風呂回)



























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