もっと甘えてほしい元勇者


 ぜんかいまでのあらすじ


 お前 幼女になっても変態なんだな…別にいいけど。(わかり難いデレ)



「……んー…。」


「うー…。」


「…すぅー…。」


 お昼寝から起きた三人、いや…とーか は立ったまま、抱き締めた俺の上着に顔を埋めて寝ている。 器用すぎる。


 そろそろ夜ご飯のカレーの材料を買いに行こうかな。


 と、その前に。



 まだ眠たそうな三人に声をかける。


「茜、おうか、とーか、おやつだよ」


 ハッとする三人


「はるちゃん おやつなにっ?」


「プリンだよー。」


「ぷりん! ほんと?」


「ほんとだよ、勇者ウソツカナイ。 ほら、おうかと とーかも手を洗っておいで。…って 、もう行ってたのか。」


 すでに準備万端で席に着いてるおうかと とーか、一足遅れて茜も着席する。


 白い皿にカップに入ったままのプリンを出す、我が家はプッチンしてもしなくてもOKなのだ。


 美味しそうにプリンを食べる茜達を眺める、可愛い。(わかりやすいデレ)


 自分が食べたプリンをちゃんと自分で片付ける三人。 因みに茜と とーかはプッチンする派らしい。 何、どうでもいい? …ああん?


 さて、カレーの材料を買いに行くか。


「俺は今から夜ご飯の材料を買いに行くから、お留守番できる?」


 それを聞いた三人が近寄ってくる。


「わたしもいくー!」


「にもつもちはまかせろー!」


「おいていっちゃやだー…」


 えぇ…


 どうしようか…もし顔見知りに会おうものならなんて言われるか……あ、そもそも俺に話し掛けてくるような知り合いなんていないんだった。


 …と、言ってもやっぱりご近所さんに見つかると面倒だし、ここはやはり毅然とした態度で断ろ


「はるちゃん つれていって?」(上目遣い)





「おっかいものー♪ おっかいものー♪」


「とーか はなれちゃだめだぞ」


「はい!」


 無理でした。 自分で言うのもなんだが、俺が茜のお願いを断れる訳無かった。

 一応三人には家を出る前に、あることをお願いしている。


「ほら、先々行かない。 」


 はしゃぐ茜達に声をかけた。



 ――――――――――


(???視点)


 逃げる


 逃げる


 逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる逃げる。


 右腕が失くなった痛みと、疲労で体が悲鳴をあげる。 それでも早く早く逃げないと勇者アイツが追い付いてくる…



 ワタシはちゃんと止めたんだ! 何の抵抗も出来ない小さな農村の連中なんて、放っておけって…でも、昨日ガス抜きも必要だなんて言って”人間狩り”をしに行った奴等の内の一人が今朝帰ってきた、手足を切り落とされた状態で、勇者に引き摺られて…。


 自分の命惜しさに、此方の拠点の場所を売りやがった、しかし入り口付近で何かを勇者に向かって叫んだ直後に真っ二つにされた。


 そして勇者がゆっくりと乗り込んできた…。


 そこそこに大きい筈のウチの拠点は数刻と持たずに陥落した。

 ワタシは仲間を見捨てて逃げ出した、逃げてる最中に勇者の仲間の黒髪の女に、右腕を切り落とされたが構わず逃げた。


 どれくらい逃げただろうか、立ち止まって呼吸を整える……………


「もう鬼ごっこは仕舞いか?」


 その声に体がビクリと反応する、声のした方に恐る恐る顔を向けると、さっきの黒髪の女が其処に立っていた。


 黒く長い髪、整った顔立ちに切れ長で美しい瞳…美しい人間の女、だけどワタシにはそれが恐ろしいものにしか見えなかった。


 そうか…コイツも勇者…


 こんなことなら…あの時無理矢理にでも彼奴を止めておけば……




 ――――――――――――


「むー………。」


 俺は魔法少女物の食玩を手に、悩んでる おうかを見ていた。


 スーパーでカレーの材料を選んでから、三人に好きなお菓子を一人一つ選んで持ってくるように言ってから、その様子を眺めていた。


 直ぐに茜はた◯のこの◯、とーかはじゃ◯り◯を選んで持ってきた。


 そして おうかは真剣な目で、食玩と向き合っている。 何を悩んでるんだろう…値段? それか食玩であることそのものか、これなら『お菓子』じゃなく、『好きな物』って言っておけば良かったかな…。


 大丈夫だ、さぁ 早くその食玩を持っておいで。


「……うん。」


 少ししてから、おうか が何か決心したような顔になる。お、持ってくるかな?


 しかしおうか はその直後予想外の行動に出た、食玩を棚に戻して近くにあった一個20円のガムを手に取り、俺の所へ歩いてきた。


「はると これ」


 おうか はガムを俺に差し出してくる。…遠慮されている? え、なんか寂しいんだけど…。



 ――――――――――


 更新遅くなってすいません。





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