借りを作ればグイグイ来るのは当たり前
「レジレ伯爵に相談してみるのはどうでしょう?」
「あー…あの人か。伯爵には屋敷に泊めてもらったことがあったけど…。」
チンピラ達の処遇に悩んでいるとティセニエラにそう言われた。
レジレ伯爵は見た目はダンディで、物腰は柔らかく、領民にも好かれてる良い貴族なんだが…。
「何か問題でも?」
「泊めてもらった時に、茜と桜花にいやらしい視線を感じてな…正直余り頼りたくないんだよな。」
レジレ伯爵の屋敷って何故か使用人は殆どが男だし、泊めてもらった時は茜と桜花と同じ部屋に泊まったんだよな。
「え?レジレ伯爵が茜と桜花にですか?」
「ああ、二人とも余程嫌だったのか同じ部屋に泊まるように言われたし。」
「…因みに二人はどんなふうに言ってました?」
「ええと、『駄目!悠君!絶対部屋からでちゃ駄目だからね?』『悠人!いいか?今日は私達の側から離れるな、わかったな?』…て感じだった。」
「その、いやらしい視線はハルトが感じたんですよね?」
「ああ、そうだ。」
所で…と、ティセニエラがこちらを見ながら言う。
「レジレ伯爵の使用人のことで何か気づいたことは?」
ん?何で今そんな質問を…?
「えーと、殆どが男だったぐらい?」
「ええ、そうですね。で…その、いやらしい視線はハルトが感じたんですよね?」
「だからそうい……え?」
あれ?え?
「ああ、伯爵はハルトのことをとても気に入ってましたよ。」
…………マジか。
「それで、伯爵に相談しますか?なんなら
「絶対に止めて下さいお願いします。」
俺の貞操の為に絶対に借りを作ってはいけない相手だ…!
まさか茜と桜花の貞操を守っていたつもりが、逆に守られていたとは…。
しかし、そうするとコイツ等はどうするかな…20人以上居るからな。
折角のティセニエラの案を止めてこの体たらくか…。
「ティセニエラ本当にごめん、何か他に案はないか…?」
こんな情けない俺にティセニエラは「しょーがないですねー。」と笑いながら言われ、エルフレアには「あんた姫様に感謝しなさいよ?」と小突かれた。
情けない元勇者でごめんなさい…。
結局チンピラ達の内、十人はストラバウムの実験室へと送られた、何でも『医療や生活に役立つ魔法研究のお仕事!…のストレス解消係です』 え?何されんのそれ。
残りの獅童、相良、座間を含めた十一人は、犯罪奴隷扱いで炭鉱夫をやらせることに。特に獅童、相良の二名は他の炭鉱夫の相手もさせられるらしい、コイツ等の精神がいつまで持つかは知らないし興味もない。
この話しをチンピラ共にしたら色々言われた。「横暴だ」「家族に会わせろ」「警察に連れていけ」等々、コイツ等は自らが法を犯したのに、何故自分は法に守ってもらえると思っているのか。
その際にあまりにも
それにちゃんと法は守ってるぞ、この
今回はティセニエラに大分迷惑をかけたので、何か俺に出来ることは無いかと聞いたら「ではこれから暫くの間、三日…いえ、4日に一度はこちらに来て顔を見せて下さい。」と、お願いされた。
「わかった、でもそんなことで良いのか?」
「本当ですか?! …ふっふっふー…言質とりましたよ、覚悟しておいて下さいねー?」
え、何の覚悟だ…?
「なーに気にしないで下さい、それよりそろそろ向こうの世界に帰られては?きっと茜も待ってますよ。」
「…わかった。 それと獅童。」
俺に名前を呼ばれ、こちらを向いた獅童は死んだような目をしていた。
「何か更科に言いたいことはあるか?伝えといてやる。」
「…何か言った所で今更だろう、だから無い。」
まだ隣で何かを言いたそうにしてる相良に比べ、獅童は全てを諦めたような顔をしていた。
…余計な気を回したか。
俺はティセニエラとエルフレアに挨拶をすると元の世界に戻った、空は少し明るくなっていた。
―――――――――――
次回は各々の後日談、と少しの間ぐだぐだ日常回。
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