爽やか が行方不明になった先輩


獅童に電話をさせてる間に桜花にメッセージをいれる。


『ちょっと清掃のボランティアをしてくる。』


少し空いて桜花からメッセージが返ってきた。


『おまえというやつは。はやくおわらせてこい。』


獅童に相良の居場所を聞き出さそうとしたが渋られてるな…さて、どうしようかと悩んでいると。

誰かが電話の向こうで相良の居場所を叫んだのが聞こえた。


◯◯町3―14の倉庫か…。


誰が居場所を叫んだのかは知らないが、随分恨まれてるんじゃないか?


俺は獅童からスマホを奪いとると電話の向こうにいる相良に告げる。


『今すぐ行く、逃げるなよ。』


空は暗くなったし、情報の住所までビルの屋上から屋上を飛んで行けば2~3分ぐらいで行けるかな。


この部屋のチンピラ共は手も脚も使えないから逃げられる心配はない。問題は獅童だな。


「な、なぁ…もう帰ってもいいだろ?」


俺は危害を加えないと約束した以上は、魔法で拘束するのもアレだしな。なので…。


「更科。」


獅童の言葉を無視して更科に声をかけると、床に座りこんでた更科は顔を上げて此方を見つめる。


獅童の被害者はお前だ、だからコイツの処遇はお前に任せる。恨みがあるだろうし憎んでもいるだろう、許すならそれもいい、好きなようにしていいぞ。」


「なっ?!オイ天川、約束が違うぞ!」


「違わない、危害を加えないと言ったんだ。」


獅童が何か喚いてるけど、これ以上コイツに時間をかけて、相良を逃がしたくないので無視。


更科に視線を戻すと、手にはいつの間にか俺がさっき曲げた金属バットが握られていた。


「お…オイ桃花…じょ、冗談だよな? オレとお前の仲だもんな?」


写真で脅して言うことを聞かせる仲ってどんなんだよ。


「そうだ!もう一度付き合おう、今度は大切にするから!な?そうしよう、ほら!」


そう言って両手を広げ、飛び込んでこいと言わんばかりのポーズをとる獅童


このタイミングで保身の為に復縁しようとかマジかコイツ。


「ふざけんなあぁ!この屑!」


怒りの声を上げながら、更科が手に持ってた金属バットを投げた。


そしてそれは


弧を描き


獅童直哉息子に直撃した。


くぐもった声を上げて、口から泡を吹きながら獅童が前のめりに倒れた。


……えーと、その…なんだ…




よし、相良の所に行くか!


俺が屋上へ行く為部屋を出ようとすると、後ろから更科が何か言っていたが、「直ぐ戻る」と言うと大人しくなった。これ以上時間は掛けられないからな。



ビルの屋上や屋根の上を飛んで移動してると、2分程で目的地の倉庫を見つけた、入り口付近に見張りの姿は見えない。


…いや、一人近くの物陰から倉庫の入り口を見つめてる人影が居た、距離が近くなってそれが女の人だとわかった。何でこんな所に…?

待ち伏せにしては、女の人が一人はおかしいよな…しかも明らかに挙動不審だし。


倉庫の近くに着地して、入り口まで歩いて行くと後ろの方からさっきの女の人が近づいてきて


「あ、あの!そーちゃんを返して下さい!」


と、言った。


「そーちゃん?誰?」


その女の人『三川』さんは俺が相良の仲間だと思って声をかけてきたそうだ。


どうやらその 『そーちゃん 』というのはこの人の彼氏で、相良に捕まっているらしい。理由については詳しくは知らない、言いづらそうだったし興味もない。


ただスマホでココの住所を教えてくれたのは、その『そーちゃん』である可能性も高い。


「…わかった、中で捕まってる人がいたら助けておくから、何処かに隠れてて下さい。」


「え…でもあなた一人じゃ…。」


「大丈夫、心配はいりませんから…。」


そう言って倉庫の中に入り扉を閉めた、中は暗く見え難いが、人の気配がする…八人ぐらいか、この中に『そーちゃん』が居るのだろう。


ゆっくりと奥に向かって歩くと倉庫の照明がつけられる、俺の周りを取り囲むようにヘラヘラと不愉快な笑みを浮かべた、頭の悪そうなチンピラ達が立っていた。


「何だ、警戒して損したよ!お前 茜の隣にいたクソメガネじゃないか!何しに来たんだよ、『ぼくの茜に手を出さないで下さーい!』って土下座でもしに来たのか?ん?」


声のした方を見ると、椅子に座ったまま此方を見下している 相良 斗真 がそこに居た。























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