既読がつくとスマホの前で正座して返信を待ってる系 戦友



 桜花は電話越しでもわかるぐらい不機嫌だった。


「な…何でそんなに不機嫌なんだ?」


「貴様…それは本気で言っているのか?」


 殺気…正直ここまで桜花が怒るのはかなり珍しい、何かここまで怒らせるようなことをしてしまっただろうか?


「ええと…すまん、どうしてもわからない。」


「貴様それでも本当に元勇者か?!いいか、私はなぁ!」





 えー…結論から言うと。


 折角俺にメッセージを送って、既読がついたので返信が来るまでソワソワして待ってたのに、メッセージではなく電話してきたことがお気に召さなかった…らしい。


 なんでもメッセージアプリは、変換できてなかろうが返信が遅かろうが付き合ってくれる茜としかしたことがなく、IDを交換したけど俺にメッセージを送るのは茜の手前遠慮してたとか。


 しかし今回、茜の送ったメッセージに便乗する形で初めてメッセージを送ることが出来て『トーク』の項目に二人目の名前が表示されて喜んでいたのにこの仕打ち…とのこと。



 そんなにメッセージアプリを使いたかったのか……後、元勇者は関係なくない?


 その後一度電話を切ってメッセージのやり取りをした。


『茜を助けてくれてありがとう、やっぱり桜花は頼りになる。』


『そか、まかせろ』


『お礼に今度三人で遊びに行こう、何処か行きたい場所があればリクエストしてくれ。』


『わかつた、かんがえておこう。』


 こんな感じのやり取りをして、機嫌が良くなった桜花ともう一度電話する。


「…随分思い切ったことをしたな。」


 茜達と別れた後であったことを桜花に伝えた。


「下衆が許せなかったのは分かるが、余り思いつきで行動するな。今回は少し時間が過ぎただけみたいだが、もしお前に何かあれば茜を悲しませることになるぞ。」


「すまない…確かに軽率だった。」


「その通りだ、行動する前に先ずは私に相談しろ…誰かに頼ったり相談することは恥ずかしいことではない、分かったな?」


「ああ…。」


 俺の返事に桜花は よろしい と満足げに答えた。


「それで、話しを聞く限りだとチンピラ共を裏で操ってるのは相良 斗真で、獅童 直哉が噛んでいるということか?」


「アイツ等が嘘を言ってなければな。」


 一本一本丁寧に折りながら聞いたし、五人全員が同じ答えだったから大丈夫だと思う。


「相良は元々良い噂のない奴だった、女癖が悪い…なんて言われてるが実際はそんなものではない、奴は自分が気に入った女子生徒に片っ端から声をかけて飽きたら捨てるということを繰り返してる。例え相手に恋人がいようがお構い無しにな。」


 ガチ屑じゃないですか先生…。


「お前も声をかけられたのか?」


 そういえば校門で相良に何か言っていたな。


「うん、ある時いきなり教室に訪ねてきてな…いきなり名前で呼ばれたので即話を打ち切った。」


 まあ、桜花の性格ならそうするだろうな…。


「しかも今回のことを考えると恐喝も日常茶飯事っぽいし……情報はもっと欲しいし更科にも話を聞いてみるか。」


 今回の更科は立場がかなり微妙みたいだしな…。


「なんだ、悠人は更科のようなタイプは嫌いだと思っていたぞ。」


「間違いなく嫌いだよ。だから別に今回も助けてやる訳じゃない。」


 大人しく情報提供をするなら、忠告の件もあるし今回は放置でいいかなとは思っている。


 そうこうしてるうちに家に着いたので茜に連絡を入れる。


『帰ってきたよ。』


 すぐに既読がついて隣の家から茜がでてくる、パジャマ姿でパタパタと近寄ってきた。


「お帰りハル君。」


「ただいま茜。どうしたんだ?」


「もうっ…帰ってくるのが遅かったから待ってたんだよ。」


「心配かけてごめん…。」


 なんか今日は謝ってばっかりな気がする。


「うん……ね、ハル君。」


「ん、どうした?」


 茜は少し考えてから


「ううん、なんでもない…もう今日は寝るね、また明日ハル君。」


「ああ、おやすみ茜。」


 どうしたのだろうか?何か悩んでるようだったが…心配だな。



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