異世界ハーレムか幼馴染みか なんて選択肢にもなってない


 結局逃げることは出来ずに城に連行され、謁見の間で王様とティセニエラの永住コールを聞かされて。


「フィーリア王国ウチは複数人と結婚できるぞ、男なんだからハーレムに興味もあろう。取り敢えずティセニエラを娶れ、話しはそれからだ。」


 いや話し終わってるだろそれ。


 何スタートラインの上にゴールテープを張ってるんだ。


 俺は茜以外と結婚するつもりはないと何度も言ってるのに…。


「帰ります…。」


「待て待て待て!分かった、分かったから!」


 その後無駄に豪華な食事でもてなされた、本当はパーティーを開きたかったそうだが流石に時間が足りなかったとのこと。


 でもその食事会には元パーティメンバーが何人かいて、他のメンバーは今どうしてる…だとか色々話が聞けた。


 皆に茜に会えたか聞かれたので。


「会えたよ、こっちでのことは覚えてなかったけど。」


 皆は複雑そうは顔をしていたけど、それでも良かったねって言ってくれた。


 後は見覚えがある貴族が何人かいたが、そっちはどうでもいい。


 食事の後でティセニエラとエルフレアを呼び出して話しをした。


「やっぱり一度帰ろうと思うんだけど……と、止めろエルフレア拳を納めろ。」


「……2、3日もいてくれないのですか?何が駄目なのですか?おもてなしが足りませんでしたか?ハルト…。」


 ティセニエラが暗い顔をする、少し罪悪感を感じる。


「いや、一度帰るだけだから…明日か明後日にはまた来るよ。」


 相良あたりをつれてな…。


「わかり…ました。必ずですよ?」


「ああ、すぐには無理だか何時かは茜や桜花も連れてくるよ。」


 俺がそう言うとティセニエラは


「仕方ありません…では私が第三夫人で手を打ちます…。」


「いや茜としか結婚しないって…だいたい何で桜花までカウントしてるんだ。」


「え?」


「え?」


 …え?


「ねぇ、エル…これって本気で言ってるのでしょうか?」


「本気でしょうね、コイツは旅をしてた時からこうでしたよ。」


「これはいくらなんでも桜花が可哀想ですね…。」


 …ただ一度帰りたいと言っただけなのによくわからない流れに。


「と、兎に角帰る。食事は美味しかった、ご馳走様。」


「ええ、皆には私から説明しておきます。また、いつでもお越しください勇者様。」

 そう言ってティセニエラは見事なカーテシーで答えた。こういう所はちゃんと王族っぽいんだが…。


 右手を少し上げて魔力を練る、白い光が辺りを包み、それが収まると元の場所に戻っていた。


 これで不良達も戻ってきてたらどうしようかと思ったわ。


 ただ…空を見ると異世界グレセアに行った時より少し暗くなっていた。時間を確認すると、18時7分だった魔法を使用したのがおそらく16時前後だったから2時間ほど経過している。


前回は異世界グレセアで四年間も過ごしたのに、あの召喚された瞬間に戻ってこれたから、数時間しか過ごしてない今回も同じ時間に戻れると思ったんだか…前回と何が違うのだろう…。


そんなことを考えながらスマホを確認してると、茜と桜花からメッセージと不在着信のお知らせがサーバーから届いた。


 茜からのメッセージは『大変ハル君人蔵さんが』と書いてあり、その直後に桜花から『だいじょうび しんぱいするな』と、きていた。


 だいじょうび……。


 何があったのか確認のため先ずは茜に電話をすると1コールで茜がでた。


『ハル君!どうして電話が繋がらなかったの?大丈夫?事故とかにあってない?腕とか脚とか折れたりしてない?』


 ヒェ…折れてないぞ……折ったけど。


「ゴメン、ちょっと立て込んでて…それより人蔵に何かあったのか?」


「あー…うん、ケーキ屋さんに寄った帰りに変な人達に絡まれちゃって、それで人蔵さんが…。」


「え、だいじょうびだったんだよな?」


「だいじょうび…?」


「何でもない気にするな。」


 桜花の能力なら相手が100人居ようが一歩も動かず切り伏せれるだろうし。


「あ、それでね、その人達が人蔵さんに手を伸ばしたら、そのまま全員倒れちゃって…。」


 だろうな。


「その直前にハル君にメッセージを送ったことを人蔵さんに話したら、人蔵さんの方で大丈夫って送っとくって。」


 だいじょうび だったけど…。


「成る程、わかった…茜は怪我とかしてないか?」


「うん、わたしは全然大丈夫だよ。」


「良かった…これも人蔵のお陰だな。今度お礼をしなければな。


「そのことなんだけど…わたしがお礼をしたいって言ったら。なら、今度は三人で遊びに行きたいって。」


 当然異論はない。


「分かった、俺からもお礼を言っとく。…それと。」


「うん。」


「今日は御免な…本当は俺が茜を守らなきゃならなかったんだけど。」


「うん…これからはちゃんと側に居てね?」


「ああ、勿論。」


「あ、気を付けて帰ってきてね。後、家についたら連絡してね。」


 了解 と言って通話を切ると今度は桜花に電話をかけると桜花も1コールででたが。


「……なんだ。」


 何故か不機嫌だった。



────────────

言い訳という名のあとがき


本来は悠人の予想通り異世界グレセアでの時間経過は、元の世界ではカウントされない筈でしたが、今回は元の世界の人間を異世界グレセアに置いて帰ってきたペナルティを受けています。


ペナルティと言っても不良一人につき25分前後という殆ど意味のないものですが。





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