【幕間】犬も食わない犬の話(異世界・桜花視点)


 私は常々思うのだ、幾ら恋人同士とはいえ他人の目のある場所で過剰にスキンシップを行うべきではないと。


 噛み砕いて言うならば目の前で イチャつくんじゃない、と。


 そもそも異世界グレセアに喚ばれる勇者の人数が何故3人なのだ!これでは必然的に1人余るではないか!


 私みたいに!私みたいに!


 自慢ではないが私は元の世界では何度も恋文をもらったし告白もされた、しかしよく知らない相手からの告白を受ける気にはならず、今まで恋人ができたことなんて一度もない。この世界では告白ではなくいきなり求婚をされるが、恋人でもない人間と結婚なんてできる訳ない。


 いや恋人以前に友人らしい友人もいないのだが…話かけられることは多いが、どうにも皆と距離を感じる… 。


 この口調のせいだろうか?それとも常に持ち歩いている木刀袋のせいか?もしくはその両方か…。


 ずずず……はあ…お茶おいし…。


 今は同じ勇者である天川、地堂と宿で夕食をとった後、3人でお茶を飲んでいた。

 過去に召喚された勇者のお陰でこちらでもお茶が飲めるのは嬉しい。


 私の向かいに座っている天川と地堂は先ほどから、大型犬が良いか小型犬が良いかで下らない言い争いをしていた。


 時折こちらに意見を求めてくるが私は猫派だシッシッ。


 だがこの二人は元の世界にいた時からの恋人同士らしく、何時でもべったりで甘ったるい空気をだしており、こうして言い争ったりしてるのは初めてみた。


「やっぱり小型犬だ、あの帰った時に尻尾を全力で振りながら甘えてくる姿に癒される…シーズーとか天使だろ。」


「大型犬だってあの優しい目で包み込むように甘えてきて可愛いよ!ゴールデンレトリーバーが尻尾を振りながらお座りしてこっちを見つめてる姿といったら…。」


 さっきからこの調子で平行線を辿っている。そもそもどっちが良いとか主観でしかないので決着なぞつくわけない。やはり猫だと思うし。


 しかし先程からのこの二人のやり取りに違和感を感じる…しかも何故だかこの違和感は知らなくても、いやむしろ知らない方がいいことのような…あ。


 あの二人『癒される』とか『天使』とか『可愛い』とか言う時に相手の目を見つめながら言ってる…。


 もう魔王討伐私必要なくないか?なあ?そうなんだろう?二人の愛の力(笑)とかでなんとかなるだろう?やだー!もうやだー!



 ーーーーーーーーーー


 初めての幕間がこれっていう…本当は異世界での別れから魔王討伐後の話しを桜花視点で書いてたんですがエラーで消えてしまったので…。

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