格好いいもの+格好いいもの=格好いいものではないらしい


 俺が異世界グレセアで得た力に勇者特性というものがある。

 効果は身体能力の向上、疲労抑制、毒耐性、呪い耐性等の勇者全員が得るものに聖剣召喚等の固有スキルなんかがある。


 今、俺はこっちに帰ってきて初めて勇者特性を使用している。ありがとう疲労抑制、君のお陰で茜とのデートが楽しみ過ぎて、昨晩は全く寝れなかったが頭はスッキリしてる。


 でもこれ切れると物凄く疲れるんだ…。


 茜の家のチャイムを押すと同時にドアが

 開き水色の膝丈までのワンピースを着た茜がでてくる。首には俺が誕生日プレゼントで渡した、ハートのネックレスをつけてくれてた。


「お待たせハル君!」


 少しくらい待たせてくれ…。


 最初俺が迎えにいくか、茜と現地で待ち合わせるか聞くと「一緒にいこ?」 と言われたので迎えにきた。


 現地での待ち合わせのがデートって感じがしないか? と、聞くと少し悩んでから「少しでも長く一緒にいたいから…。」と言われたので即ハグした。


 茜と手を繋ごうと左手を差し出すと、茜は右手の指を絡ませて恋人繋ぎをしてきた。


 手汗とか大丈夫だろうか…? 横目で茜を見ると丁度、茜も横目で此方を見ておりお互いの目が合う。


「……。」


 言葉が見つからない…。


「ね…ねぇハル君。」


「は、はい?」


「あ、ふふっ…何で敬語?」


 ぐっ…緊張しすぎて思わず…。


 恥ずかしい…な、何か言わないと。


「茜、その服凄く似合ってる…ネックレスも…。」


「あ…うん。ありがとう…ございます…。」


 聞き逃してしまいそうになるほど小さな声だった。

 しかし…何で敬語?





 まだデート開始から20分も立ってないのに、心臓が破裂するんじゃないかってぐらいドキドキしてる…昼まで持つのかこれ?。



 取り敢えず目的である服屋に到達、ネットでも結構評価が高かったし…服そのものは茜に選んでもらえばいいし。


 早速、茜に服を選んでもらおうとしたら


「まずはハル君が自分で選んでみて?」


 なんて言われてしまった。


 まあ、ここは自分の感性を信じて!


「ごめんねハル君、すぐ全部戻してきて。」


 試着すら許されずにバッサリ切られました。


「え?駄目か?」


「論外かな…。」


 そんなに…


「この黒いレザーパンツに意味不明なことの書いてあるTシャツ、それにやたらベルトのついてるジャケット…ハル君、組み合わせとか考えずに一つづつ格好いいって、思ったものを選んだんでしょ?」


 え?オシャレって格好いい服を適当に合わせるものじゃないのか?


「特にこのTシャツ…何て書いてあると思う?」


「いや…読めないけど何か格好いいなって…。


「Bleistiftspitzer…ブライシュティフトスピッツァー」


「響きめっちゃ格好よくない?」


「これドイツ語で『鉛筆削り』って意味だよ。」


「……ドイツ語って格好いいよね…。」


「うんそうだね、いいから早く戻してきて?」


 これはあれかな…外人さんがよくわからない漢字の書いたTシャツを着てるような感じなのかな…?


 その後、茜に服を選んでもらって「ハル君、次も服を買いに行く時はちゃんと呼んでね?」と言われた。


 朝はあんなに甘い雰囲気だったのに…。


 店からでてお昼どうしようか? と茜と話していると声をかけられた。


「ん?はる…天川と地堂ではないか。」


 そこには真新しいスマホを片手に難しい顔をした桜花がいた。




 ーーーーーーーーーーー



 デート編は後2、3回続くかもしれません。








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