幼馴染みガチ勢の茜
俺の心を深く傷つけた凄惨な事件から二日がたった。
下校中にチラリと茜を見る。あの日から茜は登下校中、俺の横ではなく斜め後ろを歩くようになった。気まずさの演出だろうか?学校では休み時間は二人で普通に話してるし、お昼は茜の作ってくれた弁当を二人で食べてるのに…。
「そろそろ隣、歩かない?」
この距離感は微妙に寂しいし。
「う……でも。」
「手を繋ぎたいんだけど…嫌か?」
「い、嫌じゃないよ! …いいの?」
「別にあのことなら気にしてないよ」
まあ、寝顔を写真に写されるぐらいなら…。
「他にもハル君が部屋から出た時に、ベッドに顔を埋めたりしてても?」
「…別に大丈夫だって。」
それぐらい想定の範囲内である。
「他にも さゆりおばさんに頼んでハル君の使用済みの体操服を、洗う前に匂いを嗅いでても?」
「ごめん、それは普通に引く。」
これまだ絶対余罪あるだろ…しかも共犯者まででてくるし。
茜はショックそうな顔をしてるけど、これで引かない方がおかしいと思う…。
「でもそれも別にいいよ、でも流石に洗濯前のは恥ずかしいからやるなら洗濯後のにしてくれ。」
「う、うん…。」
体育は今までほとんど見学してたから、そんなに臭くなかったと信じたい…。
と、俺が譲歩してると。
「他にもハル君がお弁当を食べるのに使ったお箸を「ストップもうこの話は終わりにしよう。」」
それ以上いけない。
落ち着け凪ぎの心だ天川 悠人、ちょっと自分の彼女が変態だったぐらいで取り乱すんじゃない深呼吸、深呼吸だ。
すーっ はーっ すーっ はーっ
はぁ……。
多分もう少々のことでは驚かないと思うけど。
その後こっちから茜の横に並び、手を握ると茜は嬉しそうに俺の手をニギニギしてきた。
「そういえば茜は次の休みは何か用事ある?」
「特に何もないよ、ハル君がよければ本の続きを読ませてもらおうかなって。」
「なら買い物に付き合ってくれないか? 本は帰ってきてからで…。」
「うん、いいよ! ところで何を買いに行くの?」
「メインは服かな…ただ自分だとどんな服が良いか分からないんだよ。」
「服?ハル君まさか…オシャレに目覚めたの?!」
驚き過ぎじゃない?
「いや全く興味は無いけど。ただせめて茜と一緒に歩くのに、恥ずかしくない格好はしないとな。」
「そんなの気になくていいのに…。」
「デートの口実なんだから素直にのってくれ。」
「あ…うん、えへへ…久しぶりのデートだね。」
久しぶりの茜とのデートか……う、いかん楽しみで顔が緩んでしまう。
学校の方は今まで茜の席を囲んでた連中は、ほとんど茜に絡んでこなくなった。何人かは謝ってきたそうだが、俺を馬鹿にしてきたことへの謝罪はなく、茜としては許すつもりはないとのこと。
このまま終わればいいけど、更科の顔を見る限りだと何か仕掛けてきそうなんだよな…。
もし、茜に何かしようとするなら…
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