最近ツンツンしてた幼馴染み彼女に、別れを告げようとしたら異世界に召喚されました。 ~ 異世界救って帰ってきたから彼女を幸せにしようと思います。え?別れませんよ? ~
後は幼馴染みとイチャイチャするだけだと思ったのに
後は幼馴染みとイチャイチャするだけだと思ったのに
「おじゃまします。」
茜がドアを少しだけ開けて、顔を覗かせる。
「うん……いらっしゃい。」
俺がそう言うとドアをゆっくり開けて、ピンクの半袖にハーフパンツのパジャマ姿の茜が入ってきた。
流石に夜、俺の部屋に来てもらうに当たって一応、茜と俺の親に許可を貰いにいくと両家共に2つ返事でOKを貰った。
誘った俺がこういうのも何なんだが、こんなアッサリ認めても良いのだろうか…?
部屋に入ってきた茜は茜用クッションに座り、何かオススメの本はないか聞いてきたのでこの間買った(約4年前)ラノベ『勇者パーティーを追放された俺は、幼馴染みに拾われて真の力に目覚めます。』を渡す。
この本のヒロインである幼馴染みの【剣聖】リサはとても一途で可愛い。
茜にヒロインが幼馴染み以外の本をオススメすると、ハイライトの消えた瞳で数時間ほど無言で見つめられるので注意が必要である。
特に 幼馴染みざまぁや幼馴染みNTRや浮気物なんて見せようものなら大変なことになる、例えば……例えば………あれ? どうなるんだっけ? 何かとても重要なことを忘れてる気がする……ま、いいか。
兎に角、今の俺には一途な幼馴染みヒロインとのイチャラブがあれば良いのだから。
「この本の勇者セイルって酷いよね…いきなり今まで一緒にやってきたルークスをパーティーから追い出すなんて…。」
と、茜が本を読みながら言った。
しかしその本の勇者セイルは全然良い方なんだが…ちゃんと
追放理由がふわっとしてたり、ダンジョンの奥で囮にされたり、装備やお金まで奪われるなんてのもあるし。
他にも 勇者に幼馴染みや恋人を奪われて追放される…なんて話があるけど俺はそんなことしてないからな?
それはともかく。
折角部屋に茜を呼んだのに茜は本を読んでて、これじゃ意味無いんじゃないか? と、思うかもしれないが、俺はこうして二人で過ごす時間が好きだ。 何でもない日常、手を伸ばせばそこに茜がいて俺に笑いかけてくれる、そんな当たり前を俺は…
「ハル……君?」
気づいたら俺は本当に手を伸ばして茜の頬に触れていた。
茜が頬を赤く染めてじっと見つめてくる。
「茜。」
呼び慣れた愛しい幼馴染みの名前。
茜に触れている手から感じる温もりと、茜の潤んだ瞳に理性が飛びそうになる。
もっと触れたい。
自分の顔を少しづつ近づける。
「……ぁ…。」
茜は小さな吐息を漏らす。
茜が目を閉じた。
顔を更に近づける。
あと数cmの距離までお互いの顔が近づいたその時。
ガタッ とドアの向こうで音がした
俺と茜は慌てて距離をとる。
俺は立ち上がり無言でドアを開けると、うちの両親と茜の両親が部屋の前で正座していた。
「は…悠人、違うんだ決して覗いててお前達がキスしそうになったから、ついテンションが上がって物音をたててしまったなんてことは無くてだな…」
親父が意味不明な言い訳をしている横で目を反らして明後日の方向を見ている母さん。
茜の方を見ると向こうの両親も、目以外は笑顔の茜に必死に言い訳をしていた。
「茜、今日はお互い両親と話し合わなければいけないから。」
「そうだねハル君。 お父さん、お母さん、帰ろうか…。」
帰ろうとする茜に読みかけの本を貸そうか? と聞くと首を横に振って「またハル君の部屋で読ましてもらうから。」 と 言った。
「おやすみ茜、また明日。…ついでにおじさん、おばさん。」
「おやすみハル君、また明日起こしに行くね。」
茜達が玄関から出ていくのを確認してから俺は両親に説教をはじめた…。
…信じられないだろ、まだ一日しかたってないんだぞ…。
後日
茜から今日あったことと全く同じ内容の小説を書いて、また文芸部の先生のチェックに引っ掛かったことを聞かされた。
名前はやはり『アカネ』と『ハルト』だった、それを聞いた俺は胃薬を買いに行くことにした…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます