魔王軍よりクラスメイトの方が俺のこと嫌いだと思った


 それから茜は休み時間の度に俺に近寄ってきて二人で話しをした、どうも席に集まってくるクラスメイトが煩わしくなったらしい。


 朝からずっと質問攻めしてくる上に、その 殆どが俺を悪く言うため もう話したくないとのこと。俺といるとクラスの連中は近寄ってこずにこちらの様子をチラチラとみていた。


 わざわざ俺に聞こえるように馬鹿にしてくるのに、俺と茜が二人で居ると絡んでこないのな…。


 俺のことめっちゃ睨んでくるけど…特に獅童。


 茜がベッタリなのは嬉しいんだが人蔵からの呼び出しはどうしよう……この状態の茜を一人にしときたくないんだよな。



 昼休みになり取り敢えず昼食をとることに。



(今日は朝から母さんが昼の弁当つくるのを忘れたと、育ち盛りの男子高校生に対して実質的な死刑宣告をしてきたんだよな…。)


 購買でパンでも買おうと席から立ち上がろうとすると茜がこちらに歩いてきた。


「ハル君 一緒にお昼御飯食べよ?」


「わかった、でも今日は弁当が無いから先に購買に寄ってくる。」


「あ…そのことなんだけど…。」


 茜が少し恥ずかしそうにモジモジしながら弁当の包みを差し出してきた。


「ごめんね、今日からハル君のお弁当をわたしに作らせて下さいって、さゆりおばさんにお願いしたの。」



 あぁ、成る程。

 忘れたんではなく普通に作らなかったのか。しかもわざわざ忘れたと嘘までついて…。



「ハル君の好きな物沢山入れといたよ。」



 そんな(可愛い)茜と中庭でお弁当タイム。


 彼女の手作り弁当を前に俺は正常ではなかった。


 弁当を一口食べる度にべた褒めして、嬉しそうに笑う茜の手を握り、食べ終わった後はハグまでしました。


 これを全て近くに人がいる状態でやった。


 他のカップルも引いてたよ…


 俺は勇者特性で魅惑チャームは効かないはずなんだが…魔王のですら効かなかった。


 つまり


 茜の手作り弁当>>>>>>>>>魔王の魅惑チャーム>>>>その他の魅惑チャーム



 そんなアホなことを考えてると同じクラスの委員長が茜を呼びにきた。

 委員長は茜と同じ部活で真面目で優しい性格なため、茜も普通に接することのできる友達らしい。

 見た目も眼鏡、オデコ、三つ編みと 委員長要素で溢れているため俺でも流石に覚えている。


 名前は忘れたけど。


 そんな委員長は部活の顧問に呼び出されていることを茜に伝えにきた。


 どうしたんだろう?


 …朝練をサボったとか?



「ハル君、文芸部に朝練はないよ…?」


 何故バレた?!


 茜は委員長と文芸部の顧問の所に行き、

 先に教室に戻っていて欲しい と茜に言われた。

 去り際に委員長に申し訳なさそうな顔をされたが、委員長は休み時間に顧問に言われ仕方なく茜を探しに来た被害者だよな…。



 俺はそのまま人蔵の待つ体育館裏に向かう。



「遅い。来ないかと思ったぞ。」


 体育館裏につくと呼び出した本人である 人蔵が壁にもたれ掛かったまま、此方に顔を向けずにそう言った。


 手には10秒でチャージできるゼリーが握られている。


「悪い…もしかしてずっと待ってた?」


「呼び出したのはこっちだからな。 折角 のとの時間を邪魔するのは忍びなかったが、どうしても気になってな…。」


 それに と人蔵は区切り


「仕方ないとはいえ、あんな他人行儀な礼の言われかたをされてはな…まで私のことを忘れたのかと思ったぞ。」


 そう言って少し寂しそうに笑った。


がこっちに帰ってきたのは昨日だぞ、忘れるわけないだろ。」



 人蔵 桜花

 この高校の有名人の一人で剣道部の期待のホープで 、あの日 異世界グレセアに俺とは別の国に召喚された勇者。



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