極限戦闘

 今から数万年前。

 正確な年数などもう忘れてしもうた。


 世界には邪竜の我と暗黒竜のメルギデスのみが存在しておった。

 竜族がまだ地下世界に引っ込む前の話じゃ。

 我らはムサシノと呼んでいた台地に住まい、退屈な毎日を過ごしておった。

 その内、メルギデスがデイダラボッチと呼ばれる土の塊でできた巨人を作りおった。


 そしてメルギデスはデイダラボッチを使って暇つぶしに世界を創造していく。

 山や谷、川に湖といった感じにのう。


 世界を一通り創り終えると、そこに神が降りてきて人を創造しおった。

 神とはどんなものだったかって? それはもう忘れてしまったのう。


 人は非常に脆く、すぐに壊れてしまう為、我々は地下世界を創造し、そこに住まいを移す事にした。これが竜族の世界と人間界の始まりじゃ。


 人間達が出す、負のエネルギーは我らにとっていい養分となった。そして、その養分を使って我らは他の竜族達を創造していく事になる。


 そうして竜族を創造したにも関わらず!奴は人間達が出す、負のエネルギー、暗黒エネルギーを利用しようとするのは止めようと途中から言い出した。奴が心変わりし出したのは奴の息子や娘達が生まれた後、じゃったと思うわ。わしは大反対した。負のエネルギーは我らの源のようなものだ。光のエネルギーとは反転し、あいまみれん物だったとしてもな。


 結局それで奴とは袂を分かつ事になる。結局、奴は暗黒竜である自分の本分を忘れ、光に走ったという事じゃ。


 …………ふぅーー

 ではケイン、そろそろケリをつけるかのう。




 俺はリドリーを次元の狭間に飛ばす。ここは思う存分、やり合うことのできる場所だ。


「…………ほう、ここは……」


 そういうとリドリーは――


「グギャオォォォォォォ!!」


 開戦の雄叫びを叫んだ!





『空間破壊』


 リドリーはいきなり空間を壊し、空間の修復力で敵を攻撃する極大魔力を必要とする神級魔法を俺に展開する。

 

 瞬時――

『絶対バリア』


 俺は指定した空間自体を非変領域にする絶対バリアで対抗する。


「ぬぅううー……空間破壊を防ぎよるか…貴様その力は人の領域をもう超えておるぞ」


 そういうとリドリーはまた極大魔力を魔法の発動に費やしている。今度は何がくる!?



『メテオスウォーム!!』


 時空の裂け目が現れ…………そこから無数の隕石が俺に向かって落ちてくる!

 嘘だろ!?


『極大魔力弾』


 俺は無限魔力を極大まで圧縮した魔力弾を複数個展開し落ちてくる隕石にぶつける。そして――

『絶対バリア』



 カッッッドーーーーーン!!!

 隕石と極魔力弾の衝突によって凄まじい爆発が生じた。

 俺は絶対バリアによってその爆発と衝撃によるダメージを防ぐ。

 人間界で戦っていたら今ので国の一つは滅んだのではないかという程の爆発だった。


 ……………



 爆発によって遮られていた視界が戻った時…………流石のリドリーも傷を負っていた。


「なんと! 今の攻撃を防ぎ、そして無傷であるとは!」

 リドリーは驚きを見せながらもどこか嬉しそうだった。



 俺はリドリーと対峙してからずっと無限魔力から魔力を注ぎ込み続けてきた魔力弾を――――

 満を持してリドリーに放つ!




『超極魔力弾!』


 バシューーーーーーーカッ!!




 それはリドリーに直撃し、

 ッーーーーーーーーーー!!!!!!




 恐らく星が爆発する時にはこのような光景になるであろうという光景を俺に見せた。俺はもちろん絶対バリアを展開中だ。




 ……………




 ………リドリーはそのような爆発にも関わらず原型を止めていた。だがすでに虫の息のようで――



「人間よ……

いや人の理りを離れしもの……

最後にお前のような者と戦えて楽しかったわ……

先に逝くぞメルギデス、我が兄弟よ……

今度生まれ変わるときは……」



 そこまで言うとリドリーは事切れた。リドリーは何に生まれ変わりたかったのか? 邪神とはなんなのか? リドリー自身の事だったのか? いくつかの謎を残して……



 ◇



「よくやってくれたのうケインよ! それにしても人の身にして本当にリドリーを倒せるとはのう。 あっぱれじゃ!」


 俺は竜王メルギデスに戦いの報告をしている。メルギデスは人間世界では神の如き伝説の存在だ。これで約束通り労せずして人間世界の征服ができるはずだった。


「じゃあ、竜王、世界征服の件、よろしく……」


「カァーーー、グゥーーー」


 あれ? 竜王は居眠りを始めてしまったようだ。



「あー父上ーー!」


 とクリフォードは叫び声を上げる。

 うん? ラミアも頭を抱えている……どうしたんだ?

 疲れてんならちょっとくらい寝かせてやれば?



「ご主人様。実はお父様、一度寝ると数年は起きません」


「何ーーー!? いやいや約束果たしてもらわないと! おい! 竜王! 起きろこの野郎! 雷撃落とすぞ!」


「ご、ご主人様! それはまずいです」


 ラミアを俺を止める。うん、何がまずいんだ?


「お父様は寝起きが非常に悪くて、一度寝てから起こされると、下手すると天変地異、火山の噴火などが起きる可能性があります」


 …………寝起きで機嫌悪くて天変地異って……なんだそりゃ!

 くそー、竜王、憂いがなくなって安心したんだろうけど、俺との約束は果たしてから寝てくれよ!


「聞いてないよーー!」


 竜王国アデレードの城内に俺の悲痛な叫び声が響き渡った。






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 ここで第3章は完結になります。


 それでは引き続き第4章もお楽しみ下さい!

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