王都で対決

「ギュオオオ゛オオオオ゛ーーーーーー!!!」

 ラミアの咆哮が王都に響き渡る。


 ヴェラクルス国王都の城を正面に暗黒竜形態のラミアと俺。

 城のバルコニーには敵の軍事司令官のクルムロフとその後方に宰相カルロ。


 お互いの自己紹介はそこそこに俺は早速力を示す事にした。


 両手を拡げて威嚇の為の大規模雷撃魔法を放つ。

 その瞬間、無数の雷が王都中を駆け巡った。

 バリバリバリバリーーーーーーーーー!!


 「キャー、キャー。」

 「なんだなんだ!?この世の終わりか!」

 市民達の悲鳴が聞こえてくる。


『安心しろ、雷撃は王都のどこにも落としていない。今はな。ラミア――』

 合図を下すとラミアは獄炎を宙に向かって吐いた。


 ブワーーーーーーーーーー!!

 真っ黒な獄炎が王都の上空へ埋め尽くされる。

 それは太陽の覆い隠し、さながら地獄のような光景だった。


『今ので分かったか?俺とラミアでこの王都はいつでも壊滅させる事ができる。それがいやならさっさと降伏しろ!』

『ぐぬぬぬぬぬ。』

 軍事司令官のクルムロフは何も言い返せないようだった。

 さすがにここまで見せつければ俺達の力は分かるだろう。


『くそう!だがまだこちらにはあいつがいる!ハイリゲン!出番だ!!」


 クルムロフがそう言うと全身漆黒の装いの人物が現れた。

 顔にも仮面のような漆黒の鎧を纏っており顔は確認できないが体格からおそらく男性だろう。

 更にハイリゲンは自分の背丈ほどもあるような大剣を携えている。


 その大剣が豪火を纏ったと思ったら突然こちらに向けて斬りつけてきた。

 問答無用という事だろう。


 その剣撃は俺のバリアによって弾かれる。

 バァチーーーーーーーン!!!

 凄まじい音と衝撃が辺りに響き渡った。


『ほう!ご主人様、此奴、あの脳筋を破ったというだけはありますね。ここまでの人間はなかなかいません。』

 ラミアにここまで言わせるとは大したものだ。

 だが遊ぶつもりはない、力の差を見せるためにも一気にやる。


 まずは重力魔法でハイリゲン周辺の重力を通常の10倍以上に

 ギュィーーーーーーン


 通常の人間ならこれだけで戦闘不能になるがハイリゲンは若干ではあるがまだ動けるようだった。

 こうなれば後は魔法勝負になる。


 ハイリゲンは俺たちに、

「インフェルノ!!!」

 と最上級の火炎系の攻撃魔法を放ってきたが…


 パアーーーー

 俺は手をかざし、その魔法を無効化した。


「ななっ!?」

 最上級魔法、いや、魔法の無効化自体が初めてだったのかもしれない。

 ハイリゲンは無効化に驚愕している。


『じゃあ終わらせるか。』

 俺はそういうとハイリゲンに向かって

 ライトニングウェーブを放った。


 バリーーバリーーバリーーバリバリバリーーーー!!!

 雷が無数のウェーブとなってハイリゲンに流れ込む。


 プシューーー

 ハイリゲンから若干の煙が出ている。

 元々が全身漆黒の為、見た目ではダメージは分かりにくいが戦闘不能となっていた。


 軍事司令官のクルムロフと再度向き合う。

『終わったぞ。他にもいるのか?』

『くぅ………カルロ様どういたしましょう?』

『他にはいないのか!?我々の敗北など認めんぞ!兵士共を集めろ!あいつらを殺せ!!』


 バリバリーーーー!

 カルロにも雷撃魔法を食らわせ、動けなくさせる。


『他にもお伺い立てる幹部がいるなら連れてこい。』

『……負けだ。敗北を認める。降伏する!』


 パチパチパチ

 いつの間にか傍らに一人拍手をする男がいた。


『セバスチャン、どうした来てたのか。』

 セバスチャンは頷き、カルロ達の方へ歩み寄る。


「久しぶりだなカルロ。」

「くそう!せっかくここまで上り詰めたのに!ちきしょう!!」


『なんだ知り合いか?』

『はい、実は私、ヴェラクルス国の宰相をしていたことがありまして。』

『あーはいはい宰相ね……って宰相!?』


 セバスチャンは自身がヴェラクルス国の宰相を担っていた事を思い出す―――

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