決着
俺はユミルに手をかざし無詠唱で眠らせた。
これから先の戦闘を見られるのは流石にまずい。
念の為、ユミルに手が出せないように小範囲の結界魔法もかけておく。
そして…
――ふわっと浮遊術を使い浮き、そして魔力を開放する
ブワ―――――
敵ボスと側近達は目を見開き驚いている。
敵ボスは冒険者で言えばSランク相当の強さはあるだろう。
それなりの強さがある敵なので変に出し惜しみをするつもりはない。
『おい、降参しないか?敵わないのは戦わずとも分かるだろう。』
『その魔力に浮遊術、あげく赤ん坊が念話だと。てめえ何者だ?』
バタ―ンと勢いよくドアが開く。
腕利き連中を片付けたグラードが入ってきた。
『そっちは片付いたか。』
『ああ、そいつがボスだな。』
『側近二人とユミルを任せていいか?』
『了解。』
とグラードが同意した瞬間に魔力波を敵ボスにぶつける。
ドカ――――ン!!
壁をぶち破り敵ボスは外に放り出された。
これで存分にやれる。
『降参はしないでいいな?お前名は?』
俺は敵ボスに問いかけた……が様子がおかしい。
手に毛が生えてきており、口からは牙が突き出してきている。
こいつはもしや……
『降参なんかするわけねえだろ!人狼の俺がこんな稼業してんのは強者と戦えるってのもあるんでな!俺の名はノストラ―ドだ!』
こいつ人狼か。戦闘好きで強い種族だ。
顔も体も完全に変化、というかノストラ―ド本来の人狼の姿に戻った。
バシ――――――!
ノストラ―ドは手の爪と風魔法を組み合わせたであろう、刃の衝撃波を放ってきた。
が俺の結界に阻まれる。
キーーーーン
背後の壁は綺麗に刃の跡がいくつかついている。
やはりこいつやるな。一気にいこう。
俺は両手を広げ無詠唱で高出力の魔力を一気に放出する。
ドカドカドカ―――ン!バリバリバリ―――!!
雷撃魔法で複数の雷を一気にノストラ―ドに落とした。
全て直撃したようでノストラ―ドからはシュ――という音と若干の焦げ臭い匂いが漂ってきた。
「ば…け…も…の……め。」
ノストラ―ドはそう言うと
ドシ――――ン
と地面に倒れた。
ノストラードの一味をグラードが縛り上げる。
そう言えば必殺技の市中お馬さんの刑を発動するのを忘れていたがまあこいつはいいだろう。
今後、裏の仕事の関連で使えるかもしれないので戦闘だけにしておく。
領内の警備兵が到着したようなのでそいつらに引き渡そうとするが
「この方々は引き受けできません。」
「なんでだ?こいつらクズのマフィアで犯罪者だろうが!」
グラードは怒っていうがその後も押し問答が続くだけだった。
『もういいよグラード、こいつらクズだ。セバスチャンに言って俺の領地の警備兵を派遣してもらおう。』
遠距離念話でセバスチャンに俺の領兵の派遣を要請するのと、ノストラードファミリーが潰された事をここの領内に広めさせるように指示を出す。
それから数日後
「あうあうあーーー!(進めー!)」
「ぐぬぬぬ。」
ヒソヒソ クスクス
領主ヨーデル家の討伐は戦闘にもならなかった。
ノストラードファミリーが潰された事を知った、領兵達が戦闘の前にとても敵わないと逃げ出したからだった。
いつもの通り、勝利の儀式として必殺技の市中お馬さんの刑を発動している。
ばち――――――――ん!
「いた――――――!!!」
クスクス クスクス
お馬さんの行進は領民達の人だかりを生み、前領主の貴族ヨーデルは好奇の目に晒されていた。
ノストラードファミリーと裏で繋がっていた事もバラした為、よっぽど嫌われていたのだろう、憐憫の目を向ける物は一人もおらず、
「ざまあみろ!」
「いい気味だ!」
というような中傷が笑い声とともに向けられていた。
これは俺も統治は気をつけないといけないなあと思わされる。
「ぶふぅーー、ゴミどもめ高貴なる貴族の我に向かって万死にあ……」
「あうあうあーー!(なにが高貴なる者だ!)」
ばち――――――――ん!
「くぅ――――――!!!」
クスクス クスクス
「ケイン様、バンザーイ!」
と新たな領主を称える声もちらほら聞こえる。
その行進は夕暮れまで続いていった。
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