メイド募集

 執事のオーディションから数日後

 パリッとした黒のスーツに蝶ネクタイをつけ、髪はオールバックで口に髭を携えたセバスチャン

「ご主人様、現在こちらの邸宅の使用人状況は如何でしょう?」

「えっと、今は君とラミアだけ。ラミアは言った通り本性は暗黒竜だから掃除とか細かい事とは無理だから。」


「なるほど…ではメイドなども募集もかけられ……」

 ――とまでセバスチャンが話した所で

 ドンドンドン!!「たのもー!!」

 と来訪者が現れた。


「誰か来たみたいだな。」

「ええ、無粋な感じから碌な輩ではないでしょう。私が応対します。」

「頼む、面白そうだから俺も見にいく。抱っこ。」

 ラミアに抱かれて玄関まで行く。


「どちら様でしょう?」

 開け放れた玄関から除いたのは4名の男性。

 一人はスーツ姿だが他の3人は剣や防具を携え明らかな戦闘要員に見受けられる。


「統治局の者だ。最近この邸宅を購入したな。購入には税金がかかる。購入金額の5%だから5000万ギルだ!!」

 おおー吹っ掛けてきたなー。それに購入税などないだろう。


「購入税というのは聞いたことがありませんが?それに傍にいる方々も統治局の方で?」

「いやこいつらは統治局の者ではないが、税の徴収から不当に逃れようとする輩がいる為に雇っているボディーガードみたいなものだ。」


『ご主人様どうしましょう。こいつら程度なら私でも力づくで退散させられますが。』

『滅しましょう!』

『ラミアはちょっと黙っておいて。』


「おい!どうすんだこらー!!」

 取り巻き連中が背後で凄んできている。


『後日払いにいくから待ってろでいいかな。』

『かしこまりました。』


「後日の支払いでよろしいですか?そこまでの金額ですと当家でも即金では難しいので。」

「お?おお!いいだろう!じゃあ待ってるから逃げずに持ってこいよ!俺は統治局のパウエルだ!」

 素直に支払いに応じると思っていなかったのであろう。支払いの意思を見せているのに動揺が見える。


「かしこまりました。パウエル様宛にお持ちします。」

 統治局の連中は意気揚々と帰っていった。


「滅したらいいのにあんな連中。」

 不満そうにラミアが言う。


「あいつをやっても統治局の別の奴とか出てくる可能性あるだろ。どうせ部署ごと不正やってんだろうし。」

「と言う事は今からすぐに奴らを滅しにいきますか!?」

「ああそうだな!今からすぐに………メイドの募集にかかってくれセバスチャン!えっとー好みは胸は小さめでー細身の可愛い系がいい!」


 キラン!

「かしこまりました!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ

「合コン相手を探すような内容ですけど。未経験不可とか特定のスキルを指定とかないんですか?」

 ラミアの圧と冷たい視線が俺とセバスチャンに突き刺さる。


「そ、そうだな…け、経験はしょ、いや、未経験でもOKで(汗)。メイドのスキルとか分からないからセバスチャンに任せる!」

「かしこまりました。しょ、いや未経験可でございますね(汗)。後は良きに手配いたします!」

 俺とセバスチャンに向けられたのはラミアの氷の微笑だった。

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