執事オーディション開幕
ドーーーーン
初めてみたその邸宅はそのように自己主張しているように見えた。
3階建てで合計で20程の居室がある。
お城まではいかないがある程度の貴族、または、領主クラスの邸宅としては申し分ないだろう。
軍資金もできたのでまずは拠点となる自宅購入の為を内見を行っている。
「なかなかいいね。」
例によって念話によりラミアを介して意思疎通を行う。
「ところでこちらの邸宅はどなたがご主人になられますか?」
メイド姿のラミアと赤ん坊だ。
購入者の主人が他にいると邸宅の営業担当者は思ったのだろう。
「ご主人様に決まっておるであろう。」
おい!とラミアに注意するがまた念話を通さずに話し始めた。
「えっと…そのご主人様と言われますのは?」
「貴様の目の前におられるだろう。ほら。」
とラミアを俺を営業の前につきだした。
「あうあうあー。」
俺は仕方ないので自己主張しておく。
「は、はあ……若おぼっちゃまでしょうか。それとは別にご主人が…」
「だからご主人様!」
つきだした俺を揺らす。
「……………。」
営業担当は無言になる。この女は頭がいかれたか、おかしなプレイでもしているのかと訝しんでいるのだろう。
「安心しろ、金なら問題なく用意している。ほれこの通り。」
俺が支持した通り話し、ラミアがアタッシュケースから金を見せた。
「確かに確認いたしました!それでは邸宅のご案内をさせて頂きます!」
現金なやつだ。態度がコロッと変わった。
『ふーーーーー。』
執務室の椅子に腰掛け一息付く。
邸宅を購入してやっと拠点ができた。
ラミアが少し温めた哺乳瓶を持ってきて、
『ご主人様。』
と机に置く。
『ふむ。』
俺はそれをちゅーちゅー美味しく飲んだ。
『さて。この大きさの邸宅だ。使用人などもいるだろうがまずは……』
キュピーン!!
『まずはパテシエですね!』
『いやいやなんでお菓子作り?お前が食いたいだけでは?まずは執事だよ。できる執事を雇えれば後の使用人の採用なんかや邸宅の運用なんかも任せられるからな。』
はずしたラミアはシュンとしている。逆になんで正解かと思ったのか問いたい。
早速依頼を頼む。報酬や待遇は一般と比べて2倍くらいで。優秀な人材が欲しいからだ。
私の名はセバスチャン。
今、執事募集のオーディションに来ている。
執事にしては破格の報酬と待遇。
どこの名家の求人かと思えば募集元は貴族ではないようであった。
総勢20名の応募者が勤務先の邸宅の庭先に集められている。
報酬に惹かれてきたが勤務先や勤務内容が納得できなければ辞退するつもりでいた。
メイドと思しき女性とその女性に抱き抱えられた赤ちゃんが一人登場した。
応募者たちがざわつく。
メイドは当主代理だろう…でもなぜ赤ちゃんも同席させる!?
「これから審査を開始する。まず最低限の魔力がないものは不合格だ。帰れ。」
「なんだいきなり!」
「当主は誰だ!メイド風情が!」
応募者たちから次々と文句が出る。
「黙れ!!!審査するのはこちらだ!文句がある奴はかかってこい!」
ブワーーーとメイドから強烈な魔力を感じた。
一体何者だこいつは!?只者ではない!!
魔力を持たないものたちはメイドの魔力に当てられてフラフラになっている。
彼らは少しずつ正常に戻り、文句を言いながらも邸宅を後にしていった。
20人ほどいた応募者が7名になっていた。
『次の条件は念話ができる事。念話ができないものは帰れ。』
メイドは念話で話しかけてきた。
『話せます。』と返す。
どうやら自分以外に念話が使えるものは後は一人しかいなさそうだ。
「よし、それでは彼と彼以外は不合格だ。全員帰れ。」
応募者たちは口々に文句を言いながら帰っていった。
『よし、それではふるいに掛けられたからこれから本面接を進めていく。』
ん?今赤ん坊の方から念話で話しかけれていないか?
「ばぶーあうあーばぶー。」
『そうだ。お前たちの目に写っている赤ちゃんの俺がこの邸宅の当主だ。』
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