神楽坂唯
俺はリコとアカリを見る。目が合うとリコとアカリはキャーーーっと叫んだ。
「ひょっとしてあたし?」アカリが言う。
「え? マジで私のことが好きなの?」リコが俺に向かって言う。
なんでそうなるんだよ……一体なんなんだよこいつらのテンション。というか会話の回転速度は……ついていくだけで疲れるんだが……
ここで俺の友達を紹介しておく。
東雲獅子雄……シノノメシシオ。いわゆる陽キャだ。クラスのカーストは一番高い。家が金持ちのお坊ちゃんDQNだ。
木下猫丸……キノシタネコマル。俺に三次元の女の子なら誰が好きか聞いてきた奴だ。こいつはマイペースな性格でシシオの取り巻きだ。
北条莉子……ホウジョウリコ。この子はなんだかんだ言って真面目な性格だと思う。ただ俺たちのグループの比較での話だが。
赤坂朱莉……アカサカアカリ。性格は活発な女の子だ。昔はシシオと恋人同士で別れたらしい。
そして俺一ノ瀬純。まぁ言うならば俺もシシオの取り巻きかな。シシオをリーダーとして俺たちは集まっていた。
俺たちはいわゆるリア充グループだ。クラスでのカーストは最上位だろう。自慢みたいになってるが実はリア充も大変だ。人間関係は楽しみとしがらみが存在する。つまり、純粋にこいつらのことが好きで付き合ってるわけじゃってことだ。
正直シシオの乱暴なところは苦手だし、アカリのデリカシーのないところも嫌いだ。リコの清楚系ビッチなことも大嫌いだ。ではなぜ付き合ってるかって。それはこいつらといるとまぁ一応楽しいし、ボッチの便所飯は嫌だからだ。
「俺学食に飯食いに行ってくるわ」俺は行った。
「今から? お前ボッチ飯じゃん」とシシオは笑う。
「ヤバ……友達やめようかな……」とアカリが口に手を当てて言う。
「今日だけだよ。じゃあな」と俺はそう言って教室から離れた。俺は廊下を歩く。正直アカリの男を舐めた態度に本気でぶん殴りたくなる瞬間がある。思ったことをそのまま言うというか……人を傷つけることも平気で言うから正直……発作的にボコボコにしたくなる瞬間がある。
「でさー唯。この前すりとぷの動画をみてさぁ」目の前から女の子の声が聞こえる。
「うん。それで?」可愛らしい女の子の声が聞こえる。俺は一瞬ドキリとする。
神楽坂唯が俺の目の前を歩いていた。こっちに向かってくる。このままだとすれ違うだろう。俺は体が一瞬にして硬直する。ドクンドクン……心臓の鼓動が速まる。
「その動画が面白くてさぁ……夜中3時まで見てて」女の子がくだらない話をしている。
「えーー! 面白そう!」神楽坂が両手を胸のところに合わせて拍手のような仕草をする。
ドクンドクン……ドキドキしてるのがバレないように俺は神楽坂とすれ違った。女たちの話し声が遠ざかる。俺はそのままあるき続けた。
俺は神楽坂唯が好きだった。神楽坂はメチャクチャ可愛かった。笑顔も声もその全てが……俺は高校に入ってからずっと神楽坂のことを片思いをしていた。向こうはどうが分からないけど……ひょっとしたら神楽坂も俺とすれ違うときドキドキしてるのだろうか。神楽坂も俺と一緒でドキドキを隠しながら俺とすれ違っているのだろうか。俺はよくそんな妄想をしていた。
俺は学食に着いた。
「でさーーあのバカ本当どうしようもなくてさぁ」
「ギャハハハハ」
学食ではいわゆるDQNグループが雑談していた。学食はみんな食べ終わったのか空いていた。
俺は若干それがウザいと思いながら食券を買う。
「今日は天ぷらそば……いや天ぷらそばは贅沢だな。きつねそばで」ピッ俺はきつねそばを頼んで一人席につく。そして椅子に座り、ズルズル….そばを食べる。
「あいつマジでやばくねぇー?」
「本物のアホだろ。あいつ」と言いながらDQNグループが下品に笑ってる。
うるせぇなぁ。飯食ったのならどっか行けや。アホども。俺はそう思いながらスマホを見ながらそばをすする。
「あ! あの……ここいいですか?」女の声が聞こえた。俺は顔を上げる。ウェーブヘアーの見知らぬ美少女がそこにはいた。
「うん! いいよ!」俺は反射的に答える。
◇
新しいヒロインの登場です!
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