第19話 ドタキャン
カーテンから、太陽の光が差し込んでくる。
眩しい。
もう朝か。
そういや最近、変な夢は見なくなったな。
セットしてた目覚ましより先に起きた朝は…
なんか、いい。
「ふぁ〜。…よく寝た。」
なんとなく、いい日になりそうだ。
(ピコーン)
携帯の受信音が鳴る。
グループLINEだ。
星乃 雫
「皆んなごめん!急な用事が入っちゃって今日行けそうにないや…。本当にごめんなさい。」
さっき思ったことは、やっぱり無しだ。
おいおい…ドタキャンかよ。
せっかく早起きしたってのに。
急用って何だよ。
むかついてきた。
電話してみるか。
(プルルルル…プルルルル…)
…でない。
今メッセージ送ったばっかりだろ。
「くそ…。なんだよあいつ。」
こうなりゃ鬼電してやる。
(プルルルル…プルルルル…プツっ)
お、出たか?
(おかけになった電話番号は、電源が入っていないため…)
……むかつく。
(ピリリリリリ…)
携帯の着信音が鳴る。
びっくりした。
かけ直してきたか。
あれ…克樹からだ。
「もしもし?」
「あー、隼斗。起きてたか。LINE見た?」
「見たよ。何だよあいつ…ドタキャンしやがってよぉ。」
「急用ならしょうがないだろ。それより、今日どうする?杉原にも連絡しないと…。」
せっかく四人でラーメン食べに行けると思ってたのに…。
三人で行っても…意味ねぇ。
「ラーメンはまた今度にしようぜー。三人で行くのもあれだしよ…。」
「隼斗、お前優しいんだな。」
「は?何がだよ…。今日はベアバンの気分なんだよ!」
別に、優しさで言ってる訳じゃねぇよ。
ただ…
四人で行くって約束しただろ…。
「おっけー。じゃあ杉原にも伝えとくわ。」
ベアーバンズ店内
あー、なんかむかむかする。
チーズバーガーはこんなに美味いのに。
「佐野…そんな顔して食べてたら、まずくなっちゃうよ…?」
「え?」
俺…今どんな顔してんだろ。
「
そりゃそうなんだけどよ。
てか、あれはお前らのせい…って言うか…
あー、駄目だ。
人のせいにするのはやめよう。
あれは俺が悪いんだ。
「千葉の言う通りだよ。またいつでも行けるんだしさ。」
いつでも…
杉原、俺は
この一日だって惜しいんだよ。
「なんだ隼斗。女に予定すっぽかされて
おっちゃん。
「そんなんじゃねぇよ。ただ単純に…楽しみにしてたから…。」
「…佐野。」
「隼斗…お前。だいぶ素直になったな。」
ずっと一緒にいた克樹が言うんだ。
そうなのかもな。
「いいだろ…別に。」
「お前の気持ち、彼女にそのまま伝えたら喜ぶだろうな!」
「だから、そういうのじゃねぇって!」
てか…おっちゃん働けよ。
これは若者の悩みなんだ。
「素直に気持ち伝えるのは大事だぞー。」
そんなの…わかってるよ。
「二人とも今日はありがとう!」
「気をつけて帰れよ!杉原!」
今日も楽しかったな。
星乃がいたら…もっと楽しかったのかな。
「隼斗、わりぃ。今から父さんと出かけないといけないから、帰り別だわ。」
「おう!じゃあまたな!」
明日…日曜日か。
何しようかな。
時間って…
あっという間だな。
(ピリリリリリ…)
携帯の着信音が鳴る。
「うわっ!」
びっくりしたぁ。
誰だよ、いきなり。
…あ、星乃…。
今頃かけてきやがったか。
「…はい。」
「もしもし?佐野くん?」
「佐野にかけたんじゃないのかよ。」
「あはは…一応、確認の為ね。」
なんだよ。確認って。
俺じゃなかった時どうするんだよ。
「今日は…行けなくてごめんね…。急に予定が入っちゃって。」
わかってるよ。
そんなこと。
急用なら…仕方ねぇ。
けど…
「ドタキャンするとか…マジないわぁ。」
ちょっと意地悪してやるか。
「ごめん…。佐野くん、ラーメン楽しみにしてたもんね。」
そっちじゃねぇよ。
ラーメンは別にいいんだ。
いつでも食えるから。
でも…
四人で遊ぶのは、なかなかねぇだろ。
「…怒ってる?」
怒ってねぇけど…
ちょっと…
「…ちょっとな。」
悲しかったんだ。
「…ごめん。」
もういいよ。
謝んなくて。
「なんてな。怒ってねぇよ!楽しかったし!」
そうだよ。
あの三人ってのも、懐かしかったんだ。
「克樹と杉原も、また四人で行こうって言ってたぜ。」
「…ありがとう。佐野くん。」
「次は絶対来いよな。」
「うん。絶対行く!」
星乃…
俺は怖いんだと思う。
星乃や克樹、杉原と…いつかは会えなくなるんだって思うと…
すげぇ怖いんだ…。
「ねぇ…佐野くん。」
「どうした?」
「もしよかったらさ……。」
「うん。」
「明日二人で遊びに行かない?」
……え?
「…え?」
星乃と…二人で?
何して遊ぶんだよ。
どっか…出かけたりするのか?
でも、ベアバンは今日行ったし…
ラーメンは四人で行きたいから…
「明日…家に誰もいないんだよね…。」
………え?
「だからさぁ…」
……まって。
もしかして……
この展開って……
「佐野くん…明日うちに来ない?」
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