第30話 ※一臣視点
所属する柔整師は、院長も含めて十人にも満たない。
小じんまりとした職場だが、アットホームな雰囲気と、自宅から自転車で通える近さが気に入っていた。
「どうですか。まだ目の前、ぐるぐるしてる感じですか」
ベッドの横で膝をつき、目線を合わせて尋ねると、芽衣は小さく頷いた。
「ごめんなさい……」
消え入るような声で言う。乾燥した唇は青紫色で、顔色は真っ白だ。
「大丈夫ですよ。ゆっくりと大きく息をしてください」
吐いて、吸ってという指示をすると、芽衣は素直に深呼吸を繰り返した。
全体的に小柄で痩せており、小さな胸が上下する様子は痛々しかった。
十分ほどその状態で休ませると、芽衣のほうから「もう大丈夫です」という申し出があったので、一臣はまずベッドの上に座らせて様子を見ることにした。
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